MURDERBALL
ウィルチェア・ラグビー=MURDERBALLをご存知だろうか。車椅子を戦車のようにカスタマイズし、相手をなぎ倒しボールを持ったままゴールするど迫力の車椅子のラグビーだ。パラリンピックでも正式種目になっている車椅子のアスリート達の熱い闘いのゲームだ。
DVDでこのスポーツを追ったドキュメンタリーMURDERBLLを観たのだが、MTV製作ということもありスタイリッシュでかっこいい映像とドラマチックな展開にドキュメンタリーに思えない迫力だった。
アメリカ代表チームのキャプテンであるマーク・ズパンは高校時代はサッカー選手として活躍、不良少年として育った彼は交通事故に遭い、四肢麻痺となったが、MURDERBALLに興味を持ちコートに立つことになる。MURDERBALLの選手の大半は脊椎損傷を負った人間。腕の筋力や握力に障害がある彼達は、カスタマイズされた車椅子でボールを奪い合い、ぶつかり合う。
この映画では、王者アメリカとライバルであるカナダのアテネ・パラリンピックまでの死闘を通し、MURDERBALLの魅力を見せてくれるスポーツドキュメンタリー映画である。
交通事故、少年時代の病気、喧嘩での大怪我など様々な理由で四肢が不自由になった彼らは障害の重さによって、点数が与えられ合計8点までに収まるようメンバーが組まれる。ボールを奪い合い、敵のゴールを駆け抜けると1点が与えられる。10秒以上ボールを抱えたままいると反則となるため、ドリブルをするかパスを出さなければならない。敵は、車椅子で相手にぶつかり押し倒すことでゴールを阻止する。文字通り、体を張った格闘技なのだ。
脊椎に損傷を負う彼達は一様に手の握力が弱くボールを握ることができない。そのため、試合ではグローブに糊をつけボールを掴みやすくする。映画では、彼達の家族や友人、同じ障害をもつ人達との交流を映し、障害を負った後の彼らが以下に行動的で人生を謳歌しているかを描いている。
MURDERBALLの世界でいつも上位に君臨するのは、アメリカ。かつてアメリカチームのエースとして3連覇を成し遂げたエースのジョー・ソアーズは、年齢的な衰えでエースの座を追われ、カナダのチーム監督として打倒アメリカに挑む。
とにかく、登場するMURDERBALLの選手達がかっこいい。四肢は不自由だが、ボールを奪い合う彼達の躍動感あふれるプレーに釘付けにさせられる。
彼らの姿を見て、本当の障害が持つ意味はどこにあるのか、考えさせられてしまった。体が不自由なことが、生きる希望を奪うのではなく、生きている目標がなくなったときに希望は奪われるなのだということを実感した。
映画の中でオートバイ事故で麻痺になった青年にズパンが話をする映像がある。青年はズパンの車椅子を借り、その乗り心地を感じ、目を輝かせていた。生きる希望は、傷害とは違う次元で存在するものなのだ。
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