2010年9月11日土曜日

不機嫌な赤いバラ


シャーリー・マクレーン、ニコラス・ケイジ主演のハートフルなコメディ作品。
1994年の作品だから、『月の輝く夜に』や『ワイルド・アット・ハート』で頭角を見せ始めた頃の作品だ。
この年には、ブリジット・フォンダと共演した『あなたに降る夢』も公開されており、この2作品でニコラス・ケイジの善良で誠実なキャラクターが、私の中で定着した。
この後、『ザ・ロック』、『コン・エアー』、『フェイス・オフ』と大規模なアクション映画に出演するが、悪役に回っても人の良さを感じてしまう。
その原型がこの『不機嫌な赤いバラ』で元大統領夫人を警護するシークレットサービスのエージェント役だ。
元大統領夫人には、『アパートの鍵貸します』から昨年公開された『ココ・シャネル』まで一線で活躍してきたシャーリー・マクレーンが演じていた。

大統領を亡くした未亡人は、寂しさからケイジ演ずるダグ護衛官に小言を言ったり、わがままのし放題。
早朝からゴルフに出掛けてみたり、急にオペラ鑑賞に行ったりと、ダグをはじめ護衛官達はいつも彼女に振り回されていた。
婦人のわがままにほとほとうんざりしていたダグは念願かなって人気を終え、ワシントンに戻ることになったが、それも束の間、婦人が大統領に電話を掛け、ダグは再び婦人の警護に付くのであった。
婦人はダグと衝突していたが、彼の誠実なところを気に入り、離れていくのが寂しかったのである。
そんなある日、ダグだけを護衛につけて湖畔に出掛けたとき、一瞬の隙をついて婦人が誘拐されてしまうのであった。

シャーリー・マクレーンは演技では出来ない彼女自身から感じるチャーミングさがある。
いくつになっても可愛いのだ。
わがままを言っても、へそを曲げても、憎めない愛くるしい表情がある。
それが、善人で生真面目なケイジと相まって、二人の間にじわじわと滲み出てくる心のつながりが素敵である。
この映画の原題は「Gurding Tess」と味気のないタイトルだが、邦題は凄く良いセンスのタイトルだ。
シャーリー・マクレーンは、まさしく不機嫌な赤いバラなのだ。
すごく大掛かりなサスペンスでもないし、大爆笑する映画ではないが、しみじみ伝わる暖かさが心地良い映画である。