2010年2月28日日曜日

グラディエーター



ローマ皇帝マルクス・アウレリウスに忠誠を誓う将軍マキシマス(ラッセル・クロウ)。
皇帝からの信望も厚く、兵士からの尊敬も集めていた。
しかし、皇帝の息子コモドゥス(ホアキン・フェニックス)が皇帝を暗殺し、状況は一変する。
コモドゥスが新皇帝になり、マキシマスは命を狙われ、愛する家族の命まで奪われてしまう。
なんとか生き延びたマキシマスはグラディエーターとなり、コモドゥスへの復讐の時を待つのだった。

クロウの映画だと思って見ていたが、ホアキン・フェニックスの映画だったのかもしれない。

映画の冒頭の麦畑のシーンから、この先に起こる不幸を予感させる。
クロウ演じるマキシマスは寡黙で男らしく信望も厚い。
一方ホアキンは愛情に飢え屈折した人間であり、愛されたいがゆえに策略を弄し卑劣な手段も厭わない。
この二人の対比が映画の軸になっていると思うのだが、マキシマスの表現は直接的で彼の目線が観客の目線になっている。
ホアキンは悪役として描かれているが、実はこちらの方が描写は細かく人間が持つ愛されたい気持ちや弱さが表現されていたと思う。
クロウの演技が悪いのではなく、この役をもらったホアキンが凄いのだろう。
もし、彼じゃない誰かがこの役を演じたとしても同じような感想と評価をしていたかは疑問である。


白い嵐



少年のための海洋学校訓練船アルバトロス号。
チャックは両親の心配を聞かず訓練に参加する。
彼のほかにも金持ちの息子フランクや、気が弱く高所恐怖症のギルなども参加する。
船長の厳しい指揮のもと、少年達は様々な経験を通し、たくましく成長していく。
仲間との連帯感も芽生えていくのだが、予期せぬ出来事が彼らを待ち受けていた・・・。

熱い友情、男らしさ、信念を貫き通す勇気に感動した。
リドリー・スコットが選ぶ題材の幅の広さに感心した。

普通の物語ならば、少年達の成長を描くだけで終わるのだが、この作品では後半に自然の猛威が立ちはだかる。
得たものの大きさと失ったものの大きさの両方を描いている。
愛する妻が海の底に消えていくシーンは胸が押しつぶされるつらさがあり、高所恐怖症を克服した少年が船室に閉じ込められ同じく命を落としていく場面も大きな悲しみに包まれていた。
避けられない事故であるが、つらすぎる現実。
この現実を乗り越えていこうとする姿に胸を打たれた。
海事審判の席で打ち鳴らされる鐘で船長と少年達が抱き合う場面はに救われた。
熱い絆、信念を貫き通する勇気の素晴らしさが、実感をもって伝わってきた。
一人の少年と船長を軸に描かれたこの作品の投げかけた世界は大きく心に残った。
作者の観念的・抽象的な描写もなく、事実を淡々と綴り難解な映画でないところにも好感が持てた。
演ずる少年達もこの映画を素晴らしいものに仕上げている。


十二人の怒れる男



ニューヨークの法廷で殺人事件の審理が終わり、12人の陪審員に表決を委ねられた。
被告は17歳の少年で、飛び出しナイフで実父を殺した容疑がかけられていた。
夏の暑い日で、陪審室は蒸しかえっていて、皆早く評決を済ませ家に帰りたがっていた。
しかし、1回目の評決は11対1となり、全員一致に至らなかった。
無罪は第8番ただ1人。
彼は小さな疑問が引っ掛かり、有罪の判断がくだせずにいた。

フォンダの投げかけた疑問にぐいぐい引き込まれ、あっという間にラスト・シーン。
陪審員制度の恐ろしさが伝わってきた。

この映画では、疑わしきは罰せずの原則で無罪にはなったが真実はわからない。
しかし、フォンダのような陪審員がいなければ有罪。
真実は闇の中であり、少年の運命は彼たち陪審員に委ねられている。
フォンダが一つ一つ疑問点を確認し、徐々に陪審員達の考えに変化がみえ始める。
説得力あるフォンダの演技でぐいぐい引き込まれていった。
陪審員の面々も個性豊かな俳優がそれぞれのキャラクターをうまく演じていた。
社会派ドラマであり、戯曲であるこの作品は役者達の名演とシドニー・ルメットの手腕により素晴らしい作品になっている。



コン・エアー



キャメロン(ニコラス・ケイジ)は妻を暴漢から守るため、人を殺めてしまい8年の刑期で刑務所に服役していた。
その刑期を終え、家族の暮らすアラバマへ戻るため、囚人たちを移送するコン・エアーに乗り込むこととなった。
しかし、コン・エアーには、25年間刑務所に服役していたサイラス(ジョン・マルコビッチ)をはじめとした凶悪犯も乗り込んでいた。
やがて、サイラスの計画が実行され、コン・エアーは凶悪犯の手に落ちてしまうのであった・・・

贅沢な個性派揃いの悪役の面々。
マルコビッチにブシェーミ、レイムズおまけに犯罪者しか演じない男=ダニー・トレホ。
こんな悪役に食われてなるものかとニコラス・ケイジも気合が入るはず。

なんと贅沢な悪役の布陣でしょうか。
強烈な個性の面々に食われてなるものかと、ニコラス・ケイジもさぞかし力が入ったことでしょう。
ブシェーミなんか登場するところがすごかったけど、後はいたっておとなしくて最後はまんまと逃げ切るところが面白い。
極めつけは、『フロム・ダスク・ティル・ドーン』シリーズでおなじみのダニー・トレホまで出ていた。
ほんとにこの人の場合、性格異常者か犯罪者しか演じたことがないんじゃないだろうか。
こういう人達が予想に反して全員善人役の映画があっても面白いかもしれない。


エイリアン2



エイリアンに襲われノストロモ号から脱出したリプリーは人工冬眠のまま57年間、宇宙を漂流していた。
救出されたリプリーはかつてエイリアンを発見したあの惑星LV426に開拓民が移住し、連絡が途絶えている事を知る。
会社は彼女を説得し、海兵隊のメンバーと惑星LV426へ行くことになる。
惑星LV426で彼らを待ち受けているのは・・・。
『ターミネーター』のジェームズ・キャメロンが前作を超える迫力のある映像に仕上げている。

シリーズの中でもこの2作目が一番面白かった。
シガニー・ウィーバーがカッコいい。
すごい迫力。
『タイタニック』みたいな甘っちょろい映画撮らずに、こういう映画とるのがジェームズ・キャメロンの魅力だ。
シガニー・ウィーバーがこれまたかっこいい。
スーザン・サランドンと並び強い女性を演じさせたら最高だ。



スター・ウォーズ



ジョン・ウィリアムズの壮大な曲。
「So long long ago・・・(遠い昔、遥かな銀河系で・・・)のテロップが流れる。
帝国と反乱軍の戦いを描いたSFX超大作の記念すべき第1作目。
ハン・ソロ、ルーク・スカイウォーカー、レイア姫、C-3PO、R2ーD2、チューバッカといった個性あふれるキャラクタが銀河で繰り広げる冒険活劇は万人の支持を受け、『スターウォーズ/帝国の逆襲』、『スター・ウォーズ/ジェダイの復讐』に続いていく。
1997年にはジョージ・ルーカス率いるILMがCGの再加工と画像や音のデジタル化を施した特別編も公開された。


冒頭のジャーン!!で一気にその世界に引き込まれた。
それまで見ていたSFが子供だましに思えるほど、スター・ウォーズが僕に与えたインパクトは大きかった。
冒頭のSTAR WARSのロゴが現れ、不意を突かれてジャーン!!の大音響。
後はあれよあれよという間に物語に引き込まれていた。
ジョージ・ルーカスはただ者ではないと実感させられた瞬間だった。
それから考えると、後年に公開されたエピソードⅠを観たときは何も感じなかったな。


ターミネーター



機械が支配する未来から、指導者となるジョン・コナーの母親になるサラ・コナー(リンダ・ハミルトン)を救いに一人の兵士が送り込まれる。
彼の名はリース(マイケル・ビーン)。
時を同じくして、サラを抹殺するためにT-800型のターミネーター(アーノルド・シュワルツェネッガー)も未来からやってきた。
こうして、未来を賭け、ターミネーターとの死闘が繰り広げられるのであった。

よくできた映画だ。
物語の設定はそれまでのタイムトラベルものと一線を隔している?
過去に戻って機械の敵となる残された人間のリーダーの母親を殺しにやってきて、それを救いにきた男が将来のリーダーの父親?
なんじゃそりゃと思うが、それでいいのだ的な強引なストーリーも迫力ある面白さで目をつぶれるのが素晴らしい。
この頃のシュワちゃんが若い。
じゃあ何故、T2になると老けてるの?(この疑問は反則?)



ショート・サーキット2/がんばれ!ジョニー5



ジョニー5が活躍するショートサーキットの続編。
前作以上にジョニー5のキャラクタが前面に出ていて、それだけで満足。
結構、ちょっと感動する場面もあり、好きな映画。
前作同様、この映画にはすごく採点が甘い。
結構手厳しい評価を目にするが、いいんじゃないかな。
あのキャラクターと三ツ矢雄二の吹替えで十分楽しめる。
ラスト近くぼろぼろになりながら活躍するジョニー5にはちょっとウルウル(またしても涙腺弱し)。
こういう罪がなくて単純に楽しめる映画は最好きだ。



スウィッチ 素敵な彼女?



女たらしのプレイボーイ。
彼はそれが災いし命を失う羽目に合う。
天国で彼は真剣に一人の女性を愛せたら生まれ変わりを許される。
しかし、悪魔の邪魔も入り、女性として生まれ変わることになる。
その彼女のとりこになるのが彼の親友であった・・・。
この奇妙な設定をブレイク・エドワーズ監督が面白くも心に残る作品として仕上げている。

不思議な感覚。
小品ながらいい出来の映画ってこういう映画だと思う。
『ジュニア』よりこっちの方がずっと面白くて、女性になってしまったらこんな気分なのかと実感が持てた。
プレイボーイが罰として女性の気持ちをわかるため、女性に生まれ変わるという話の設定がユニークで面白い。
確かに神様だったらこのぐらいの罰は与えるだろう。
生まれ変わる女性がファニーフェースのエレン・バーキン。
彼女がまたいい味出していて、この難しい役どころを見事に演じていた。
ちょっとした仕草から身のこなし方までオスカー級の演技。
いくら『ジュニア』でシュワちゃんがおなかを大きくしても、あれは単なるコメディであれ見てもし自分が妊娠したらなんて気分は想像もつかなかった。
こっちは自然な展開で中身が男性の女性を描いていたから少しだけど考えてしまった。
いやいや、さすがブレーク・エドワーズといった良い出来の作品。


ダーティファイター



クリント・イーストウッド主演のコメディ・ロード・ムービー。
イーストウッド演じるファイロは腕っ節の強いトラック野郎。
彼は相棒のオランウータンと各地を転々とする。
旅の途中、カントリー・シンガーのリン=ソンドラ・ロックと知り合い、彼女に一目ぼれ。
間抜けな暴走族に絡まれたり、ストリート・ファイトがあったり気楽に楽しめる娯楽作品に仕上げられている。
評判もよく続編の『ダーティファイター/燃えよ鉄拳』が作られている。

私にとっては、この映画はご飯にマヨネーズ的なお気に入り。
この気軽な雰囲気が大好き。

ファファーファ ファファー♪のメロディで現れる間抜けな暴走族が楽しい。
鋲付きの皮ジャンとジーンズのむさ苦しい男達。
チョッパーのバイクに跨り登場するのだが、意気込みと反対にいつもイーストウッドにコテンパンにやられる。
吉本新喜劇的な存在が愉快。
イーストウッドのお袋さんがまた凄くて、ライフル持っていて変な奴がきたらそれをぶっ放す迫力満点。
芸達者の相棒オラウータンもいい感じで、たわいもないのだが、その気楽さが大好き。


レインメーカー



法廷物といえばジョン・グリシャム。
彼の作品を名匠フランシス・フォード・コッポラが映画化。
マット・デイモン演ずるルーディは法律学校を卒業したばかりの弁護士の卵。
バイト先のパブの主人の紹介でシャークと呼ばれるやくざな弁護士=ミッキー・ロークの事務所で働くこととなる。
社会の弱者を救うといった高尚な目標を持つ彼の思いとは裏腹に、事故の保険金処理など現実はそう甘いものではなかった。
やがて学生の時に知り合った家族の弁護をすることになる。
この家の息子は白血病に冒され余命幾ばくもない身。
保険に加入していたにも関わらず、一向に保険金を支払わない保険会社を相手に正義のため戦うこととなる。
夫の暴力に傷つく女性との恋も交え物語は展開する。

デイモンが正義を信じ大企業に戦う姿が心地よい。
さすがコッポラ。面白かった。
こういう法廷物見ると、いい作品の時は「よくぞ俺の変わりに言ってくれた。」と喜んでしまい。
つまらない作品の時は、「あれも言ってくれよ。馬鹿だな。」と思ってしまう。
この映画の場合は当然、前者。
ジョン・ボイトもうまくて適役だった。
最近は悪役ばかりだ。たまにはいい役やってほしいな。


ショート・サーキット



この作品の主役ジョニー5は軍事目的で開発されたロボット。
ある日、彼に雷が落ちショートしたことによって、感情が芽生える。
やがて彼は軍の施設から脱走し、一人の女性ステファニー=アリー・シーディと出会う。
彼女は、この心を持つロボットが軍から追われていることを知る。
開発したニュートン=スティーブン・グッテンバーグと共に助けようとするのだが…。

この愛すべきキャラクター=ジョニー5は、『ブレード・ランナー』や『ミッション・トゥ・マーズ』などのデザインで有名なシド・ミードのデザイン。
シド・ミードはフォードのデザイナーから映画の世界に入り、独特な未来の世界やハードウェアをデザインしているクリエイターである。

ジョニー5がお気に入り。
三ツ矢雄二の吹き替えが大好き。
ロボットなんだけど、何とも愛嬌があって面白い。
最近のウォーリーもジョニー5に似てるなあ。



バック・トゥ・ザ・フューチャー


スティーブン・スピルバーグ製作。
ロバート・ゼメキス監督と脚本。
高校生のマーティー(マイケル・J・フォックス)は、近くに住む発明家ドク(クリストファー・ロイド)と気が合う。
ある日、ドクが発明したタイムマシンの実験をすることになるのだが、なんとそのマシンはマニアックな車デロリアン。
30年前にタイムスリップするのだが、ドクは暴漢に襲われ、マーティーは帰るための燃料を失ってしまう。
昔のドクを探し、元の時代に戻ろうとするのだが、思いがけず母親と父親の出会いを邪魔してしまい、自分の存在自体が消え始めてしまう。
事態を解決するため、マーティーのあの手この手の奮闘が始まる・・・

楽しい映画だった。
タイムマシンがスポーツカーっていうのも目新しくて。
だけど、この映画の良いところはマイケル・J・フォックスの魅力に尽きる。
ちっちゃいけど元気が良くて、引きしまっていて、スピード感があり、好感が持てるキャラクターだった。
この後もいろんな映画でも活躍してたけど、基本的には同じキャラクターだった。
けど、それが魅力だからワンパターンでつまらないとは思わなかった。
安心して笑えるって言うか。僕は好きだけど。

この映画の5年後あたりからパーキンソン病の症状が出始め、病を隠しながら仕事を続けていた。
しかし、1998年に病気を公表し、マイケル・J・フォックス パーキンソン病リサーチ財団を設立し、パーキンソン病の研究助成活動を続けている。
その後、パーキンソン病との格闘を綴った自伝『ラッキー・マン』(Lucky Man) を発売し、売上は全て財団に寄付されている。
可能なら彼をタイムマシンに乗せて、昔に戻してあげたいものだ。


天空の城ラピュタ



宮崎駿の空への憧れが伝わってくる。
クリエイターというのはこういう世界を創造できる人種だ。
この映画の世界観が素晴らしい。

宮崎駿の世界が映画全編に広がっていた。
空に浮かぶ国、巨大な飛行船、飛行石、機関車での逃走劇、細部にわたり彼独特の思いが映画に注ぎ込まれていた。
彼の映画は常に突き抜ける広がりを持った大空と透き通る水が絵の中に溢れているが、この映画は徹底した空の映画。
アニメーションでこれだけその世界に引き込まれ魅了される映像を創造できるのは後にも先にも彼だけしか思い浮かばない。
いくらディズニーがCGを駆使してもこれはこの先も変わらないだろう。
また、軸となる物語も夢があり、お得意の恋とはいえない淡い思いが、心をくすぐる。
こういう人のことをクリエイターと呼ぶのだろう。


ダイ・ハード



ニューヨーク市警のジョン・マックレーン(ブルース・ウィリス)は、クリスマスの休暇をとり、妻のホリー(ボニー・ベデリア)に会うため、ロサンゼルスにやって来た。
ジョンはホリーが勤める日本企業のナカトミビルを訪れる。
ホリー達がクリスマスパーティを楽しんでいる頃、ジョンは、旅の疲れを癒していた。
ちょうど、その時、ナカトミビルの金庫にある債券を狙うテロ集団が、襲撃を始めた。
テロ集団は社員を人質にビルを占拠し、ジョンがたった一人で彼らと戦うことになる。・・・

この手の映画のパイオニア=ブルース・ウィリス。
「一人で困難に立ち向かう」っていうのは今も昔も変わらない定番人気メニュー。
この後から色々と似たシチュエーションの作品が作られたけど、この映画を始めてみた時のインパクトが一番強烈で新鮮だった。
ウィリスのキャラクターもこれまでの2枚目スター路線と異なり、傷だらけ、汗まみれのおじさん。
この人間臭さが、緊迫感を生んでるんだろう。


リプレイスメント



プロフットボール選手のストのため集められた代理選手達=リプレイスメント。
その一人にかつての学生フットボールの花形であったシェイン・ファルコがいた
ファルコは、型破りな監督マクギンティの説得でチームに加わったのであった。
彼はプレッシャーに弱く、シュガーボールで大敗した惨めな過去があった。
れを跳ね除け人生に立ち向かい真の勝者になることが物語りの軸となっている。
リプレイスメントには博打好きの元イングランドのサッカー選手、刑務所に服役中で特別に仮出所が認められたかつてのプロ選手、実力はあるが聾唖のためプロになれない選手など様々な過去を持つユニークな選手達が集まる。
彼らも同じく人生の勝者になるため、ひとつになっていく。
この大まじめな主題を決して深刻にせず、笑いをふんだんに盛り込みながらクライマックスへと一気に展開していく。
チアリーダーとのロマンスも軽く交え、難しく考えずスカッとした気分になるために作られた現代の御伽噺。

まっすぐな笑い、まっすぐな感動を楽しむために作られたまっすぐな物語。
はまった時のキアヌ・リーブスは最高。
フットボールシーンも秀逸。

こういう映画にはごちゃごちゃとけちを付けずに素直に大いに楽しむべき。
テンポもいいし、ファルコの仲間の黒人選手2人組が意地悪するスト中の花形選手をギャフンといわせるあたりはスカッとする。
適度なストレスを与えながら一気に爆発させていくストーリー展開は最高。
ゲームのシーンも迫力があり、緊迫感が伝わってくる。
大好きなジーン・ハックマンもいい味出してるし、元ショーガールのチアリーダーの小さな笑いも良い感じにはさまれ、文句なし。
個性豊かなキャラクタ達も魅力的で十分楽しめた。
例のごとくアメリカ人のずれた感覚で元力士とされる日本人選手も出てくるが、これぐらいならご愛嬌といったところ。
とにかく、スカッとしたい人、前向きになりたい人にはお勧めの1本です。


ザ・ロック



英雄ハメル准将(エド・ハリス)は、部下を率い兵器庫から奪った致死性の神経ガス・ロケット弾を装備し、観光客を人質にアルカトラズ島を占拠する。
FBIの化学兵器スペシャリストであるグッドスピード(ニコラス・ケイジ)が、元イギリスの諜報員のメイソン(ショーン・コネリー)と共に、島に潜入してロケットの発射装置を除去を命じられる。
メイソンは、長い間、存在も伏せられ幽閉のみにあった。
メイソンだけが、アルカトラズから脱出できた唯一の人物であったため、リスクを承知の上で潜入に同行させたのであった。
画して、島へ潜入し、無事ガス弾を奪還できるのか・・・

この映画、主役の三人がみ皆ハゲである。
シブハゲ3人が熱くて、かっこいいのだ。
主役の3人がみんなハゲだということに気がついたのは、しばらく立ってから。そ
れほどこの3人がかっこいい。
シブハゲ界のキングと言っても良いショーンコネリーはもちろん、正義を重んずるピュアな軍人のエド・ハリス、化学畑の異色FBI捜査官のニコラス・ケイジ。
この3人がまさに役にピッタリ。
見せ場も満載でさすがブラッカイマーの娯楽映画。
この映画見てからブラッカイマーと聞いただけで見ねばと思ってしまうほど。
ショーン・コネリーが元英国のスパイという設定もにくい。


グラン・プリ



1966年公開
当時のF1グラン・プリの世界を舞台に70mmの迫力ある映像で撮られた作品。
ベテラン・ドライバーにイブ・モンタン。
F1に進出してきた日本企業のオーナーに三船敏郎。
当時の名ドライバーであるグラハム・ヒルらのカメオ出演もあり、冒頭のレーススタートを待つシーンから緊迫感ある映像でF1の世界へ引き込んでいく。
様々なエピソードをとおし、ドライバーの心の葛藤を描いている。

冒頭のレーススタートのシーンがかっこいい。
本物の雰囲気もあり楽しめた。
最近はあまり見ないけど私もF1は好き、お気に入りは暴れん坊将軍マンセル。
この映画、冒頭のシーンがかっこいい。
画面をコマ割りしてF1マシーンの細部を描写したり、細かなディティールをちゃんと撮っている。
それもレース好きの心をくすぐるかっこいい映像で。
このあたりはさすがフランケンハイマー。
イブ・モンタンも往年のベテランドライバーの雰囲気があり、とても自然。
ジム・クラークなどの実在の名ドライバーがモデルになったレーサーもあり、F1好きにはたまらない。
セナやプロスト、マンセル、ピケの4強をモデルにすると結構面白い映画になりそうだけど、誰か映画化してくれないかな。


ハート・オブ・ウーマン



ひょんなことから女性の心の声が聞こえるようになった男。
この男を演じたのが、リーサル・ウェポンシリーズでおなじみのメル・ギブソン。
上司に来た女性が気に食わないギブソンが、彼女をどうにかしようとたくらむのだが・・・
この女性上司には、ヘレン・ハントはキャスティング。

女性の心を読むというのは男性の夢。
その夢を面白おかしくギブソンが見せてくれる楽しい映画だ。

因みに横道にそれるが、私はヘレン・ハントが好きだ。
ペイ・フォワード 可能の王国、ツイスター、恋愛小説家などなど
高い鼻に涼しげな眼、ブロンドの髪。
透明感のある女優さんだ。
チンパンジーに手話を教える女性研究者役で出演した飛べ、バージル プロジェクトXの頃からのファンである。


まごころを君に / アルジャーノンに花束を



公開当時の邦題は「まごころを君に」。
知的な障害をもつ青年チャーリー=クリフ・ロバートソン。
彼はその障害を克服する研究のため、脳外科の手術を受けることになる。
手術前には実験用のネズミのアルジャーノンとの迷路の競争でいつも負けていたのが、術後アルジャーノンはおろか普通の人より高い知能を身に付ける。
しかし、彼を待ち受けていたのは・・・。
ダニエル・キイス原作のこの物語は、2000年にカナダ製作でTV放映用にリメイクされている。

中学生の頃、なんともやり切れないこの映画に胸が詰まったことを覚えている。
いったん知能を取り戻した人間が、それを失っていくのってどんな気持なんだろう?
これほど残酷な話ってあるのかと思っていた。
少し違うかもしれないが、『花いちもんめ』で千秋実演ずる老人が徐々にボケ始めていく姿がダブって思えた。
この老人の場合は、自分がボケ始めていくことに気づくのだが、その状況が良く似ている。
だから、映画は架空かも知れないが、将来同じ気持になるかも分からないと思うとぞっとしてくる
知能を失っていく恐怖は、肉体的な不自由とまた違う恐怖だが、どう克服できるものなんだろう。


心の旅路



戦争で記憶をなくした兵士が、最後にたどり着く場所。
泣ける映画である。

グリア・ガースンの聡明な美しさに魅了される。
メロドラマするならこういう風にやって欲しいもの。
イチャイチャ、シネシネすればメロドラマだというのは大きな間違い。
この映画を見て、いい映画は色褪せないと思った。

記憶喪失を扱ったドラマは数多いが、この映画がその中でも定番中の定番で、この手の映画のスタンダードだと思う。
確かにメロドラマなんだけど、この映画には人の美しさや優しさが込められていて、単に乳繰り合うメロドラマではない。
ラストでは、思わず涙腺が緩んでしまった。
それにこの映画のグリア・ガースンがすごくいい。
聡明な女性の美しさが溢れていた。
こういういい映画はいつまでたっても色褪せないと思う。


依頼人



ある日、ブラッド・レンフロ演ずる少年マークが上院議員殺しの真相を知る弁護士の自殺を目撃してしまう。
マフィアの犯行を追求する検事トミー・リー・ジョーンズに口を開こうとしないマークは自分と家族を守るため一人の弁護士の元を尋ねる。
その女性弁護士レジーをスーザン・サランドンが演じている。
やがて、マークの命を狙いにマフィア達の手が伸びてくる・・・。
ジョン・グリシャム原作の法廷を舞台にしたサスペンスドラマ。

サランドンは大好きだ。
本当にいい味してるな。
気が強くて凛とした女性を演じたらスーザン・サランドンの右に出る人はいないんじゃないだろうか。
本当に何か凄く魅力を感じる。
目がギョロッとしてて、すごい美女ってわけではないんだけど、すごく魅力的な女性だと思う。
内から輝くものがあふれている。
トミー・リー・ジョーンズがやり込められてあたふたするところなんて最高だった。


海辺の家



もうすぐ死ぬって分からないと何をしたいのかは見えないのかな。ありがちだけど、そうかもしれない。
余命3ヶ月って宣告されて何をするんだろうか?
想像できない。
死への不安は誰しも持つものかと思うが、誰もが時間は永遠にあるかのごとく毎日を暮らしている。
だから、普段は何が大事で何が幸せかなんてよく分かっていない気がする。
ありがちな話だが、そうだと思う。

この映画の主人公のケビン・クラインの場合は、家を建てることであった。
どうも見ていると、出来上がった家自体は、特に重要じゃなく家を息子や愛する人たちと建てたことが生きていた証でもあり、愛する人たちに残した大事な何かになっていた。
これも、結果としてそうなっただけで、主人公が最初から分かっていたわけではないように思えた。
想像ばかりだけど、死ぬ前に何かしなけりゃと思った時、何がいいかというのはなく、単純に息子と家を建てることしか頭に浮かばなかったんじゃないだろうか。
結果オーライではないけど、家を建てたことで彼も彼の家族も救われる。
彼は死ぬが、息子との蟠りも解け、彼の思いは息子に託され、家族の思いが形として家となった。
そういうものがラストで俯瞰から映された家の映像に込められていたと思う。

さて、ありがちな題材かとは思うが、自分だったらとやはり考えさせられる映画だった。

ちなみに気になったのは隣人の親子。
ちょっと映画の主題から考えるとエッチ過ぎないか?
でも、映画にはしっくり馴染んでいたな。
これがこの映画の一番すごいとこかもしれない。


女房の殺し方教えます



スタンリー(ジャック・レモン)は独身の売れっ子の漫画作家。
彼は執事チャールズ(テリー・トーマス)と暮らし、独身生活を謳歌していた。
ある日スタンリーは独身クラブのパーティに出席し、酔ったあげく、失恋した男の結婚指輪をパーティの余興に呼ばれていたフォード(ヴィルナ・リージ)の指にはめてしまう。
朝、目が覚め隣に寝ているフォードに驚くスタンリー。
後悔するが、後の祭り。
仕方なく、彼女との生活が始まるのだが、独身クラブも追い出され、独身時代を羨む日々が始まった。
新しい探偵漫画にフォードに似た人間を登場させ、完全犯罪を考え、いつものように人形で試したことが災いする。
漫画を見たフォードはショックで家を出、彼女が失踪したことで、彼は裁判にかけられることになる。

裁判で禁断のボタンを使ったレモンの自己弁護が面白かった。
大好きなテリー・トーマスとジャック・レモンがでてるから、それだけでOK。


ステラ



一途に娘のことだけを思う母=ベッド・ミドラー。
下町で暮らす彼女は品はないが、娘の幸せだけを願う女性。
やがて娘の将来のため別れを決意する。
ベッド・ミドラーの魅力を十分に発揮した母と娘の絆を描いたヒューマン・ドラマ。
でもその泥臭さゆえにゴールデン・ラズベリー賞にも選ばれている。

おかあちゃん=ベッド・ミドラーがいい。
素直に涙してしまった。

ゴールデン・ラズベリー賞のグランプリにも選ばれているが、要するに古臭くて泥臭い題材を文化人きどりの人達があざ笑っているんだろう。
僕は素直に良い映画だと思った。
ミドラーが子を思う親の気持ちをストレートに演じていて好感が持てたし、ラストの浪花節的な展開も素直に涙できた。
映画だから見る人に思いが伝わって良い時間を提供できればそれでいいと思う。
こういう善意に満ちた作品は好きだ。


ダンシング・ヒーロー



社交ダンスを舞台に恋有り、挫折有り、親子愛ありの三拍子揃ったスポ根映画。
こう書くといかにも泥臭いのだが、主演のポール・マーキュリオが精悍でダンスも素晴らしく、社交ダンスの魅力を存分に引き出しテンポ良くまとめられている。
最後にスカッとしたいあなたにうってつけの映画。
オーストラリア製作であるため出演者も見慣れてなく新鮮。

かっこいい。
社交ダンスがこんなにかっこいいとは思わなかった。
『シャル・ウィ・ダンス』よりこっちの方が好きだな。
主役の彼に尽きる。
とにかくかっこいい。
映画のテンポもよくって話の筋や展開も不快なところはなく、見ていて引き込まれてしまった。
あまり、期待せずに見たから余計素晴らしく感じたのかもしれない。


チャンプ



かつてチャンピオンまで登りつめた男フリン=ジョン・ヴォイトは、妻との離婚やタイトルをなくしたことから、厩舎で細々と息子と暮らす身。
だが息子のT・J=ミッキー・シュローダーは、父親がいつかチャンプになると信じて「チャンプ」と呼んでいた。
フリンは愛する息子のため、心にもない言葉でかつての妻=フェイ・ダナウェイに子供を託し、再びチャンプに返り咲くためリングに上がる。
天才子役のミッキー・シュローダーの健気な演技は全世界で涙を誘った。

涙が枯れるかと思った。
ミッキー・シュローダー少年がどんなことがあっても父親を信じつづける。
ジョン・ヴォイトはどんなに落ち込んでも子供のことしか頭にない。
この設定だけで目が潤んでくる。(元々、恥ずかしながら涙もろい)
心にもない言葉で元奥さんに子供を託そうとするあたり、身につまされる。
もちろん、ラストも涙が止まらなかった。
ここまでツボをおさえた展開でこられてなけないはずがない。
まだ見たことがなくて、思い切り泣きたいあなたは是非見てください。


飛べ!フェニックス



輸送機が砂漠に不時着する。
飛行機に乗り合わせた男達はいがみ合いながらも脱出をするため、協力してことを成し遂げようとする。
アルドリッチが熱い男達の姿を描き上げた。
その男達にはジェームズ・スチュアートをはじめ錚々たる面々が顔をそろえ映画を盛り上げている。

男たち
ジェームズ・スチュワート
リチャード・アッテンボロー
ハーディ・クリューガー
ジョージ・ケネディ
アーネスト・ボーグナイン
ピーター・フィンチ
イアン・バネン・・・

面白い。
熱い。
ハーディ・クリューガーの職業を後で聞かされるときがまた面白い。
こういう映画、リメイクしそうな題材だと思ってたら、されちゃった。
僕ならトミー・リー・ジョーンズ、ジェレミー・アイアンズ、ランス・ヘンリクセンと癖のありそうなあたりをキャスティングする。


青い体験



妻をなくした男ばかりの家庭に訪れた美しいお手伝いラウラ・アントネッリ。
その彼女を巡って男達があの手この手と大騒ぎ。
話の筋というより彼女の魅力に振り回される男達を描いたイタリア映画。
公開当時の中高生のあこがれの女性であった事は多分間違っていないだろう。

40代後半から50代前半の人はきっとお世話になったはず。
中学生の時にこの映画は友達の中でも有名な存在。
表ではキャンディーズ、心の中ではラウラ・アントネッリ。
家にもこんなお手伝いさんが着てくれたらどんなに幸せかと思っていました。


となりのトトロ



昭和30年頃の所沢が舞台に設定されている。
このころは、まだ大きな木が茂る森や山、小川のせせらぎなど自然が普通にあった時代。
そこに都会から大学で考古学を研究する父と娘達(サツキとメイ)が引っ越してくる。
ふたりのお母さんは病気療養のため離れた病院に入院している。
この田舎でふたりは森に住むトトロと出会う。
妖怪でもない、動物でもないこの不思議なトトロと仲良くなるふたり。
子供の時にしか見えなかった大切なものをそっと教えてくれる優しさあふれる宮崎アニメ。
スタジオ・ジブリのトレードマークにもなっている。

うちの息子が何十回と見ていた。
お世話になりました。
トトロがいたら楽しいだろうな。
いいオヤジが言うのも変だけど素直にそう思った。
子供のマンガ映画と侮れない、みんなが持っている懐かしがりたい気持ちをくすぐる作品だ。
うちの息子が何十回と見てたけど、よーく考えてみると大人が懐かしがるための映画である。
だから、恥ずかしがることなくこの大人のためのマンガ映画が見れちゃうのかな。
宮崎さんは凄い人です。


2010年2月27日土曜日

アンドロメダ…



ある町で、血液が凝固する症状を起こし、2人を除き全員が死亡した。
生き残ったのは、病気の老人と赤ん坊だった。
政府は、原因究明のため、優秀な科学者を召集し、政府の極秘施設で調査を開始する。
救出された老人と赤ん坊と、この町に落下した人工衛星の部品の一部を調べ始める。
やがて、部品から新種の病原体が発見される。
このアンドロメダ病原体の分析を進めていき、意外な事実を知ることになる。
原作は、ジュラシック・パークで有名なマイケル・クライトンである。

この映画を始めて観たのは中学生の頃。
中学生の僕は知的なSFにびっくり。
この映画、宇宙からきた細菌のなぞを科学者が究明していくのだけど、無菌状態のレベルが色分けされた地下施設だとか、血が凝固してしまう死に方だとか、細菌を構成するのが塩基とアミノ酸の単純な組み合わせだとか、とにかく知的なサイエンスフィクションに感心した。
といっても非常に分かりやすくてスリルもあってとても面白かった。
最近の映画みたいにSFXさえあればいいようなのは、この映画見て反省して欲しい。
最近、リメイクされたが、この映画のインパクトに比べると、見劣りする。


バーティカル・リミット



ロック・クライミングを楽しむ親子。
ピーター=クリス・オドネルとアニー=ロビン・タネイは兄と妹。
事故に巻き込まれ3人は1本のロープで中ずりに。
フックが3人の重みには耐えられないと判断した父は、ピーターにロープを切らせる。
この事故で二人にわだかまりが残ってしまう。
やがて時は経ち、アニーは航空会社の経営者ボーエンの登山隊に同行し世界第2位の高峰K2に登頂する。
一流登山家の判断を無視し、強行するが吹雪と雪崩に巻き込まれ遭難する。
アニー達3人は運良く大きな岩の隙間に落ち助かるのだが、彼らが生き延びれる時間のリミットは36時間。
ピーターはアニーの遭難を知り、孤高の登山家ウィックの助けを借り危険なニトロを背負い救出に向かう・・・。
バーティカル・リミットとは、人間が到達できる標高限界のこと。

見てるこっちがリミットだった。
これでもか、これでもかの見せ場の連続。
助かったと思わせておいてドカン。
ほっとしたところにまたドカン。
スコット・グレンがいかにも名クライマーに見えた。
さすがグレン、これがいぶし銀というやつだろう。
ストーリーどうのこうのより、映像の迫力に圧倒された。
登場人物の描写も『クリフ・ハンガー』よりずっとうまく描かれていた。




コスタ=ガヴラス監督がギリシャで起きた暗殺事件を題材に軍事政権の謀略を描いた社会派ドラマ。
Zは冒頭に暗殺される革新政党の党首であり、イブ・モンタンが演じている。
この事件を究明していく判事にジャン・ルイ・トランティニアンといった渋いフランス俳優が共演している。
徹底的にリアルな映像でスリリングな展開でまとめられたこの作品は、アカデミー外国語映画賞をはじめカンヌなど幾つかの賞を受賞した。

存在感のモンタンとクールなトランティニアンでなければこの映画は成功しなかっただろう。
監督の故国で起こった政治的な暗殺事件が題材でいかにも重苦しくて退屈そうな映画と思ってしまうのだが、この映画、あれよあれよという間にラストまで引っ張っていかれる。
監督の手腕によるものだが、モンタンやトランティニアンがギャラ度外視で参加するほどの入れ込みが作品にあったことが重要だと思った。
彼らでない誰かがやってもこんなにはならなかっただろう。
アメリカ映画の脳天気さもいいけれど、こういう雰囲気の映画はできないだろうな。


007/ロシアより愛をこめて



007シリーズ第2弾、スペクターに悪用されるソ連の諜報員タチアナ=ダニエラ・ビアンキ。
暗号機と引き換えにボンドをおびき出す。
やがてオリエント急行を舞台に、ボンドを狙う殺し屋=ロバート・ショーとの戦いがスリリングに繰り広げられる。
ボートでの脱出、ヘリとの戦いなど前作を超えるスケールのアクション映画に仕上がっている。

美女のスパイの代名詞=タチアナ。
歴代ボンドガールで最高なのはこのダニエラ・ビアンキ。
とにかく綺麗。
透き通るような白い肌。
清楚な顔立ちが一層色っぽさを感じる。
ショーン・コネリーの007も1作目以上に板について、かっこいい。
007の映画の中ではこれと『ゴールド・フィンガー』が一番面白かった。
DVDはお勧めです。


愛は静けさの中に



ウィリアム・ハート演ずる教師が港町の聾唖学校に赴任してくる。
彼は聾唖の生徒達に音楽を教えることに情熱を燃やす。
その学校で働く美しい女性=マーリー・マトリン、彼女もまた聾唖者である。
彼女も彼に好意を持つのだが聾唖ゆえに、自分の中に閉じこもる。
やがて、生徒達も音楽会を開けるまでになる・・・。
聾唖者の役を演じる主演のマーリー・マトリンは、本人も本当の聾唖者であり、本作で映画にデビューした。
本作品の名演で彼女はアカデミー主演女優賞を受賞している。

マーリー・マトリンの魅力が光る。
彼女の素晴らしい演技は聾唖者の役付けの範囲だけで終わらせるのはもったいない。
聾唖者を否定するわけでもなんでもないが、彼女の素晴らしい才能を考えた時、どうしても配役の枠が聾唖者の設定にしかはめられない。
これは、非常に残念。
もっと、色んな映画に出てその魅力を発揮してほしいものだ。
きっと、いいアイディア考えてくれる人が出てきて、彼女を起用してくれるだろう。
楽しみに待ってよう。


ホット・ロック



4年の刑期を終えドートマンダー(ロバート・レッドフォード)が州刑務所から出所した。
ドートマンダーは盗みのプロフェッショナル。
義理の弟のケルプ(ジョージ・シーガル)が彼を迎えに来ていた。
彼もまた錠前破りの天才。
ケルプはアフリカのある国の大使(モーゼス・ガン)から、博物館に展示されているダイヤの盗みを依頼されていた。
爆弾作りの名人アラン(ポール・サンド)と凄腕の運転手マーチ(ロン・リーブマン)と手を組み、計画どおり博物館に侵入する。
しかし、思いがけない事態が彼らを待ち受けているのであった。

ドナルド・E・ウェストレイク原作のドートマンダーシリーズの映画化である。
色んな小技が効いていてテンポも良くって楽しい映画である。
ウエストレイク原作のこのシリーズの小説も面白く、何冊か読んだことがある。
レッドフォードの仲間達のキャラクタが個性的で面白く、物語の展開がテンポ良い。
意外な展開も用意してあり、泥棒のスリルもあり、はらはらどきどきの映画だ。
まだ見ていない人には、おすすめの1本。


世にも怪奇な物語



ヨーロッパを代表する3人の監督がエドガー・アラン・ポーの怪奇小説を題材に作られたオムニバス作品。
①ロジェ・バディム監督による「黒馬の哭く館」
黒馬に魅せられ死へと誘われる王女をジェーン・フォンダの妖艶な魅力で映像にした。
黒馬にピーター・フォンダ、兄弟で共演している。
②ルイ・マル監督による「影を殺した男」
アランドロン演ずる冷血な男ウィリアム・ウィルソン。
彼は子供の時から常に同姓同名の存在に悩まされていた。
徐々に神経を冒されやがて破滅の道を進む。
③フェデリコ・フェリーニによる「悪魔の首飾り」
酒に溺れ落ちていく映画スター=テレンス・スタンプ。
彼の目にはこの世の者でない人形のような少女が見える。

どの作品も面白かったが、フェリーニの作品が一番幻想的で怖かった。
あの少女の笑顔にゾクゾクッとした。
超大物の監督達が怪奇映画のオムニバスを撮ったことだけでもすごい。
バディム監督は製作費節約のため奥さんと奥さんの弟つかった訳ではない。



ポルターガイスト



スピルバーグ製作によるホラー・ムービー。
監督は悪魔のいけにえのトビー・フーパー。
不動産セールスマンのフリーリングは会社が開発分譲した郊外の住宅地に暮らしている。
ある夜、末娘のキャロル・アンが何も移っていないテレビに向かって話し掛け始める。
その日からこの中流家庭の一家に不思議な現象が起き始める。
始めのうちは面白がっていたが、嵐の晩に事態は一変する・・・。
2作目の撮影後、この末娘を演じていたヘザー・オルークが急死したことも話題になった。

主演の少女の死を聞いて少し恐ろしくなった。
並みのホラー映画とは一線を隔す素晴らしさ。
良くできた映画だった。
ジェリー・ゴールドスミスの美しいメロディが映画がホラーだけではないことを印象付けている。
子供の頃に感じた恐怖をそのまま映像にしていた。
SFXももちろん使われているが、最近の映画のようなSFX過多でなく、物語の展開で見せる映画である。
でも、主役の女の子どうして死んじゃったのかな。合掌。


プライベート・ライアン



1944年6月6日。
第二次世界大戦中連合軍がフランス・ノルマンディへ上陸した。
映画の冒頭は、その上陸シーンから始まる。
最初の30分、見てるこっちが死にそうになった。
弾丸が飛び交い、上陸する前に命を落とす者、上陸してすぐに撃ち殺される者。
海は死体と血に染まっていた。
暴力描写に批判もあるかもしれないが、まず徹底した描写があったから映画全体を通して戦争がどういうものか実感できたのだろう。

肯定しているわけでも、否定しているわけでもなく映画を見る人に判断は委ねられている。
凄まじい描写は最後の精一杯、行きぬけという言葉の重みにつながっている。
必死に怪我をした仲間を助ける兵士が死んでいくシーンが悲しい。



千と千尋の神隠し



あの夢の中のような世界に目を奪われた。
クリアな水と奥行きのある空間は宮崎作品の集大成。
お気に入りはススワタリとハエドリ。

ススワタリがコンペイ糖もらって、みんな1つずつ色の違うコンペイ糖持ってるところや、水の中の線路を走る電車、油屋の不思議な建築とそれに集まるユニークな八百万の神様たち。
宮崎駿の独特な世界観に目を奪われた。
透明感のある水と風、奥行きがあり澄んだ空、萌えるような緑も素晴らしい。
人物や背景の動きもいつもながら素晴らしい。
アニメフリークでもオタクでもないけど、この才能には脱帽する。
皆さんの評価はまた違うかもしれないが私の場合は『もののけ姫』よりこっちの方が好きだった。


わらの犬



学者ダスティン・ホフマンとその妻スーザン・ジョージはイギリスの田舎に引っ越してくる。
表向きの付き合いとは裏腹によそ者を受け入れない人達の心が見え隠れする。
暴力的な行為を嫌うホフマンは、いやな目に会いながらもこの村の生活に溶け込もうとする。
ある晩、暴力的な村人の娘が、精神薄弱の男性に殺される。
男性は故意に殺害したのではなく、村人に見つかるのを恐れて口を塞いだつもりだった。
しかし、娘の父親は息子達を引き連れ精神薄弱の男性を追いかける。
暴力を否定するホフマンは妻の反対を押し切り彼をかくまうことになるが・・・。
人間の心に潜む暴力をバイオレンス映画の巨匠サム・ペキンパーが描いている。

ペキンパーの作品の中では一番インパクトがあった。
ペキンパーの映像の迫力はすごい。
頼りないひ弱な男性が暴力を否定するために暴力で身を守る。
相矛盾した問題を映画から感じた。
ペキンパー独特のリアルな暴力描写がそれを実感させる。
ペキンパー=バイオレンスと片付けられがちだが、最近の映画は訴えるものもないままペキンパー以上のグロテスクな画像を世に送り出している。
そこには嫌悪感しかない。



素晴らしきヒコーキ野郎



飛行機発展の黎明期である1910年が物語りの舞台。
ロンドンの大新聞社がロンドン-パリ間の飛行機によるレースを開催することになった。
世界各国からヒコーキ野郎たちが招待される。
ゲルト・フレーベやスチュアート・ホイットマンなど国柄を代表するスターがそれを演じている。
日本の石原裕次郎も出演している。
フィアンセである社長のお転婆娘のサラ・マイルズや、怪優テリー=トマスの妨害などを盛り込んだ娯楽作品。
監督のケン・アナキンはこの後、自動車レースを題材に『モンテカルロ・ラリー』も手がけている。

チキチキマシーン的な笑いで気楽に見れる作品。
今見ても楽しい映画だ。
華やかな雰囲気。スケールの大きさ。テリー=トマスの悪役ぶり。それを楽しめばそれでいいような。
日本人=裕次郎が凧に乗ってるシーンは少し閉口するが、誤解は今に始まったことでもないし、笑って済ませられる。
この映画、個性豊かな俳優が多く出ているから吹替え版もすごく楽しい。
最近は、こういう映画って成り立たないんだろうか。



ラスト・ボーイスカウト



しがない私立探偵ジョー・ハレンベック。
元シークレットサービス。
彼は卑劣な上院議員を殴ったことで職を追われた過去を持つ男。
ダンサーの情夫ジミー・ディックス。
元プロフットボールのスーパースター。
愛する家族を失った悲しみから麻薬と賭博に手を出し、フットボール界から追放された男。
ジョーがジミーの彼女のダンサーを警護することになるが、ふたりの目の前で殺されてしまう。
ジミ-の復帰のため、フットボール賭博の黒幕を脅していたことが原因の殺人であることがわかり、ふたりの男は真相をつきとめていく・・・。
ジョエル・シルバー製作、ブルース・ウィリス主演のアクション大作。

ジョンマクレーン定年後の姿か?キャラは同じ。
だから安心して楽しめた。
『ハドソン・ホーク』のような奇天烈なキャラクターやるよりずっと良かった。
あえてキャラクター変える必要なし。
安心して楽しめた。
映画もテンポよくて、さすがジョエル・シルバーといった感じだった。
結構面白かったけど、続編の話はなかったね。ラスト見てると、いかにも次作るよといった雰囲気ありありだと思ったんだけどな。



旅情



キャサリン・ヘップバーン演ずるオールドミスのジェーン。
彼女は憧れの地、水の都ベニスを観光のため訪れる。
ベニスを周る彼女は、1軒のベネチアグラスの店に入る。
そこでハンサムな男性のレナートと知り合う。
彼の案内でベニスを満喫するジェーン。
次第に恋する気持ちが芽生え始める・・・。
キャサリン・ヘップバーンが好演するこの映画は、メロドラマも大作も見事にこなすデビッド・リーン監督の作品。
アカデミー監督賞も受賞している。

キャサリン・ヘップバーンは美人ではないが、澄んだ心を持ち、清清しく綺麗な女性。
このキャサリン・ヘップバーンのために作られた映画だ。
彼女がもつ魅力は、綺麗な心をもつ清清しい女性を演じれること。
想像だがもちろん、本人もそういう人だったんだろう。
原題はSummerTimeだが、この邦題の旅情も映画の雰囲気を表現したいいタイトルだと思う。


レッド・サン



日本から日米修交のため訪れた使節団。
ドロン率いる強盗団に大統領に献上する名刀を奪われる。
同行していた侍=三船敏郎はその名刀を取り戻すべく、単身彼らの後を追う。
ドロン、ブロンソン、三船敏郎といったビッグスター共演による異色西部劇。

3人まとめて見れるだけで最高。こんな西部劇もあり、あり。
西部劇にチャンバラ。
そういえば、仲代達也もマカロニウェスタンにでてた。
面白いからいい。
大して筋も覚えていないけど、3人まとめて見れる贅沢は最高。




バガー・ヴァンスの伝説



1928年ジョージア州サヴァンナ。
伝説のゴルファーであるジュナ(M・デイモン)は戦場で心傷つき、ひっそり生活を送っていた。
ジュナの元恋人アデール(S・セロン)は、自殺した父に代わりゴルフ場を立て直そうと奮闘していた。
彼女は、エキジビジョン・マッチを企画し、ジュナを出場させようとする。
ジュナのキャディとなる不思議な男バガー・ヴァンス(W・スミス)が現れ、大物プレイヤーとジュナの戦いの幕が切られる。

いかにもピュアな役柄が、マット・デイモンらしくて良かった。
ウィル・スミスが控え目なのも新鮮。
監督したロバート・レッドフォードの真っ直ぐな姿勢も伝わってきた。
ビッグプレイヤー役の2人がプロっぽくてこれまた良かった。
いかにもプロ。それもビッグプレイヤーに相応しい雰囲気と存在感。
これが良かった。あの鋭い眼差しに変わる瞬間がいい。
盛り上げるためのタメが少ないところもただのスポ根物にしたくないレッドフォードの思いを静かに伝えたかったのかと思う。

お調子者役ばかりのウィル・スミスが静かに語る男で登場したのも新鮮でよかった。
私としては、こういう雰囲気のある映画は好きだ。


ロレンツォのオイル



銀行員オーギュスト=ニック・ノルティは妻=スーザン・サランドンと息子ロレンツォ=ザック・オマリー・グリーンバーグと平凡だが幸せに暮らしていた。
そんあある日、息子の様子がおかしくなる。
突然無反応な状態になり、そのうちに痙攣の発作を起こすまでになる。
副賢白ジストロフィーという不治の病が原因であった。
医者に救いを求めても一向に回復しない息子。
この両親は、自ら治療法を見つけるため寝食も忘れ、医学書を読み漁り、全てをかけた生活が始まる。
やがて、かすかな光明が見え始めるが・・・。
この作品は実話であり、タイトル名にもなっているこのオイルで世界中の多くの人々が救われた。

ノルティとサランドンの真に迫った演技に拍手。
この実在のご夫婦の信念を貫き通した姿にも拍手。
サランドンが鬼気迫る形相で医者であろうが夫であろうが、看護婦であろうがくってかかる。
子供を治したい一心で戦いつづける母親。
決して優しい女性で描かれていない。
その姿が実話に基づくものであることがよく分かる。
こういう信念を持つ強い女性を演じたら彼女が一番だと思う。
ニック・ノルティといえば、無愛想な刑事のイメージが強く、こういう良き父で知性がある温厚な男性を演じる姿はなじみがなかった。
ところが、ニックノルティがまたいい味出していて驚いてしまった。
子を思う親の心に勝るものはなし。


さらば友よ



アルジェリアの戦地から帰還した二人の男。
この二人がアラン・ドロンとチャールズ・ブロンソン。
ドロンが広告会社に勤める女性から持ち出した債券を金庫に戻す仕事の依頼を受ける。
同じく戦地帰りのブロンソンもその話に乗り、債券を戻すのと引き替えに大金を持ち出す計画を練るのだが…。

クールでかっこいいというのはこういう配役と設定。
ドロンとブロンソン。
正反対の個性だけどどちらもかっこいい。
クールで冷徹だけど女性に弱い一面があり、それが命取りになる繊細な2枚目のアラン・ドロン。
寡黙で自制心が強く、引き締まった体躯で危機を乗り越えるタフガイのブロンソン。
この2人のクールなかっこよさがこの映画一番のポイント。
戦争から帰還した陰を持つ2人の静かな友情がラストシーンに凝縮されていた。



バード・オン・ワイヤー



麻薬事件の証人になった男=メル・ギブソンは自分の命を守るため死んだことになっていた。
FBI捜査官の裏切りで彼の証言で捕らえられた男達に追われるはめに。
元恋人で女性弁護士のゴールディ・ホーンと彼のドタバタの逃亡劇が始まる。
いくつになっても可愛いゴールディの魅力で楽しい映画にまとまっている。

コメディエンヌといえば、ゴールディ・ホーン。
このとき45歳だったが、可愛いさとプロポーションはとても45歳には見えなかった。
本当に『永遠に美しく』というっ感じだった。
ゴールディ・ホーンってほんとにいつになっても可愛いくて、大好きな女優さんだ。
あのギョロっとしてるけど可愛い顔がたまらない。
メル・ギブソンも良いんだけど、もしかすると、彼女が出てなかったらそんなに楽しい映画でもなかった気もする。

彼女の芸暦は結構古く、1969年24歳のときにサボテンの花でアカデミーとゴールデングローブの助演女優賞を受賞し、現在64歳である。
私が最初に彼女を見たのは小学生の頃、ウォーレン・ビーティーと競演したバンクジャックという作品だ。
銀行の貸金庫から大金を盗み出し、まんまと独り占めする小悪魔を演じていた。
なんともチャーミングな女優さんである。


ロンゲスト・ヤード



元プロフットボール選手のクルー=バーと・レイノルズはつまらない車泥棒の罪で刑務所に服役することとなる。
フットボール好きの所長は看守達のコーチにしようと考えるが、頼みを断わられる。
その腹いせに嫌がらせが始まる。
やがて所長の命令をのみ、クルーは看守達の練習相手として囚人達のチームを作ることになる。
看守達の鼻を明かすため囚人達の戦いが始まる・・・。
もっともセクシーな男に選ばれた頃のバート・レイノルズ。

男臭さあふれる映画だ。男臭い映画の中でも10本の指に入るだろう。
監督は、北国の帝王や飛べ!フェニックスなど男臭い映画を数々撮り続けたロバート・アルドリッチだ。
フットボールシーンが豪快で、男たちの熱い友情もあり、ラストまではらはらしながら映画の中に引き込まれていく。
ラストまでスリルに満ちていて目が離せなかった。
ラストシーンが、これまた凄く良い。

最近、リメイクされたが、前作とは比べ物にはならなかった。