2010年6月30日水曜日

マイ・ウェイ



ワールドカップを観戦して、1本の映画を思い出した。
南アフリカと英国で共同制作された『マイ・ウェイ』である。
アパルトヘイトがまだ存在していた1970年代の作品だ。
大きな建設会社の社長で元オリンピックの金メダリストである主人公は、家族にも恵まれ幸せに暮らしていた。
頑固一徹で自分の思うがままに生きてきた。
息子たちにも自分の思い描く道を歩ませようとするが、思い通りにはいかず、片腕となっていた息子も事故で失ってしまう。
自分の信念を確認し、証明するためにマラソン大会に出場する。
金メダルを獲ったのは、大昔の若かりし頃。
今や中年から初老にさしかかろうとしていた。
周囲から無謀と言われながらも、マラソンに挑む主人公。
ぼろぼろになりながらゴールに近づくと彼の愛する家族たちの笑顔がそこにあった。
主人公はスチュアード・ジョンソンという役者さん。
いかにも頑固親父といった風貌の役者さんだった。
映画のクライマックスでは、タイトルどおりフランク・シナトラのマイ・ウェイが流れ、映画を盛り上げていた。
マイ・ウェイは、ポール・アンカが、シナトラが引退するという噂を聞きつけ、シナトラのために自身が作曲したシャンソンに英語の歌詞を付けアレンジした曲だ。
シナトラが歌うマイ・ウェイは大ヒットし、シナトラの代名詞にもなった曲だ。
映画は、このマイ・ウェイの長大なPVのような作品である。
映画はヒットし、この映画のその後を描いた続編も作られた。
人種差別の大きな問題をかかえていたとは思えない善良な人達を描いていた。

アパルトヘイトが撤廃され、ネルソン・マンデラのもと、変革が進められている。
復讐ではなく、お互いを認め合うことからスタートし、良い方向に向かってはいるが、格差が生む治安の問題など南アフリカはまだまだ多くの問題をかかえている。
何でワールドカップが南アなの?
という疑問はあったが、南アフリカが真に一つの国としてまとまって行くには大きな意義があったのだろう。
映画とは違うが信念を持って進んでいって欲しいものだ。

2010年6月29日火曜日

ゴールディ・ホーン

バタフライはフリー


女優さんで好きな女優さんは数々あれど、キャラクターの可愛さでは、ゴールディ・ホーンが一番だ。
小さな顔にびっくりした様な大きな瞳。
明るく天真爛漫。
悪気はないけど、人を災難に巻き込んだり、巻き込まれたりする。
小悪魔的な雰囲気もあり、チャーミング。
誰もが認めるコメディエンヌ。
それが、ゴールディ・ホーンである。

バンク・ジャック


芸歴は長く、24歳の頃に主演したサボテンの花が1969年なので、今から40年前だ。
永遠に美しくが、50歳の手前だと考えると、いつ歳をとっているのか分からないほどだ。
彼女の魅力は、その存在感。
彼女が出ているだけで、楽しい気分になってしまう。

アメリカ万才


そんな彼女も今や64歳。
現在のパートナーは、俳優のカート・ラッセル。
前夫との娘ケイト・ハドソンも女優で活躍している。

プライベート・ベンジャミン

ワイルド・キャッツ


彼女の主な出演作は以下のとおり。

サボテンの花 Cactus Flower (1969)
バタフライはフリー Butterflies Are Free (1972)
続・激突!/カージャック The Sugarland Express (1974)
シャンプー Shampoo (1975)
ファール・プレイ Foul play (1978)
昔みたい Seems Like Old Times (1980)
プライベート・ベンジャミン Private Benjamin (1980)
結婚しない族 Best Friends (1982)
スイング・シフト Swing Shift (1984)
アメリカ万歳 Protocol (1984)
ワイルドキャッツ Wildcats (1986)
潮風のいたずら Overboard (1987)
マイ・ブルー・ヘブン My Blue Heaven (1990)
バード・オン・ワイヤー Bird on a Wire (1990)
幸せの向う側 Decieved (1991)
ハウスシッター/結婚願望 Housesitter (1992)
永遠に美しく… Death Becomes Her (1992)
ファースト・ワイフ・クラブ The First Wives Club (1996)
世界中がアイ・ラヴ・ユー Everyone Says I Love You (1996)
アウト・オブ・タウナーズ The Out-Of-Towners (1999)
フォルテ Town & Country (2001)
バンガー・シスターズ The Banger Sisters (2002)



うーん、すごいものだ。



アイスキャッスル


ロビー・ベンソンという名前を聞くと、70年代のアメリカの青春映画を思い出す。
ジェレミー、ビリー・ジョー 愛のかけ橋、ワン・オン・ワン、そしてこのアイス・キャッスルである。
この映画は、オリンピック出場を目指すリン=ホリー・ジョンソンと彼女を支えるホッケー選手のロビー・ベンソンや家族のお話だ。
練習中の事故で頭を打ち、視力を失ったことを隠したまま、ロビー・ベンソンの励ましで冬季オリンピックへの出場をかけて大会に出場する。
リン=ホリー・ジョンソンは、当時のアメリカのフィギュア界で人気のあった選手であり、私のようなおっさん世代から見ると札幌オリンピックのジャネット・リンを思い出させる氷上の妖精に相応しいチャーミングな女性だ。
ロビー・ベンソンは、取り分けての二枚目でもなければ、長身でもない。
隣に住んでるおにいちゃんといった感じで、いたって普通の青年である。
だからこそ、親近感もあったのだろう。
この映画以降も何本か出演しているが、青春映画以外の彼の記憶はない。

その後の彼は、数多くのテレビドラマの監督をしたり、演技の指導をしているそうだ。
特筆すべきは、あのディズニーの美女と野獣の吹き替えを務めたことだ。
この作品で野獣を演じた彼は高い歌唱力も評価され、吹き替えでも活躍したそうだ。

彼の主な出演作は、こんなところだ。

1991年美女と野獣
1987年レンタ・コップ
1983年ロンリーウェイ
1980年マイ・ハート マイ・ラブ
1978年アイス・キャッスル
1977年ワン・オン・ワン 脚本/出演
1976年ビリー・ジョー 愛のかけ橋
1975年ラッキー・レディ
1973年ジェレミー

数多くはないが、青春時代を思い出すと彼の映画も思い出す。

2010年6月28日月曜日

ベンジー


ウェスタンシンガーのチャーリー・リッチが歌うI Feel Loveの曲が流れ廃屋の屋根から一匹の犬が姿を現す。
1974年の興行収入で、ジョーズ、タワーリングインフェルノに次ぐ第3位の成績を上げたベンジーである。
このベンジーは、調教師のジョー・キャンプが監督したファミリー向け作品であり、凄いモンスターも出てこなければ、ビッグスターが主演している訳でもない。
ベンジーを可愛がる男の子と男の子の妹が誘拐され、ベンジーの活躍で無事救出されるといった内容であり、派手なアクションもない。
ベンジーの愛嬌たっぷりの名演に眉尻を下げながら、ほのぼのした気持ちで観れる作品だ。
本作のヒットで何本か続編が制作されたが、本作以上のヒットには至らなかった。
日本でも大ヒットし、テレビの特番のためにジョー・キャンプとベンジーが来日したほどだ。
番組には、淀川長治さんも来られ、ジョー・キャンプと対談していた。
ベンジーは、ラッシーやリン・ティン・ティンに肩を並べる犬の世界のビッグスターだが、雑種の野良犬であり、ジョー・キャンプが施設から引き取った犬だとか。
※訂正:ベンジーを引き取って世話をし、育てたのはトレイナーのフランク・インさん。Higinsと名付けられ、インさんが亡くなったときには、墓に遺灰を一緒に納めたそうだ。

お金さえかければ大ヒットする訳ではない良い例で、低予算でも観客が観たい物を作れば、人は観にくるものである。
因みに動物好きの私も中学の頃に映画を観に行ったが、単純なストーリーである分だけ、ジョー・キャンプの素晴らしい調教によるベンジーの名演技に感心し、堪能した。
毎朝、街を歩き回り街の人達に愛嬌を振りまくベンジーが良い感じなのだ。



ファイヤーフォックス


クリント・イーストウッドが制作・監督・主演したスパイアクション作品。
米ソ冷戦時代の後半。
ソビエトに潜入し、極秘裏に開発されていた超音速のジェット戦闘機を奪取するため1人のパイロットが選ばれる。
クリント・イーストウッド演じるガントは戦争で精神的な問題から一線から退いていたが、ロシア語に流暢なことや卓越した操縦技術から作戦を命じられる。
盗み出す最新鋭戦闘機は、頭で思考することで攻撃可能だが、ロシア語で思考しなければならないところが面白い。
マッハ5で空を飛び、ステルス機能を備えた戦闘機で、ソビエトに制空権を握られる訳にはいかないアメリカが極秘裏に進めた作戦である。

原作のモデルは1976年にMIG25で北海道に降り立ちアメリカに亡命したベレンコ中尉の事件とのことだ。
映画は2時間を超える長尺で、アクション映画としてはかなり長い作品だ。
映画の前半はソビエトに潜入し、ファイヤーフォックスがある基地までたどり着くまでのサスペンス。
後半は、ファイヤーフォックスを奪ってからソビエトのエースパイロットと対決するまでのアクション映画である。
このため、前半は暗く陰鬱であり、後半は派手なアクション映画になっている。
イーストウッドらしい作品にも思えるが、少し長すぎる。
とは言え、それなりに楽しめる作品には仕上がっている。

シチュエーションを変えてリメイクできそうな作品だが、潜入する敵地が思い浮かばない。
北朝鮮に行っても盗む物もないし、中国ならコピーの戦闘機だろう。
今更、ロシアもリアリティがない。
やっぱり、冷戦時代だからこそ東側の国への潜入が緊迫感を持てるのだろう。

2010年6月27日日曜日

ダブ


ジョセフ・ボトムズ主演の青春映画だ。
最年少で単独ヨット航海により世界一周を成し遂げた青年のお話だ。
彼の彼女役にはデボラ・ラフィン。
制作のグレゴリー・ペックが、その清楚な魅力に惚れ込んでキャスティングしたそうだ。
海にヨットにHangTenのシャツ。
綺麗で清楚な彼女。
荒れ狂う大海原で一人で格闘する青年。
典型的な青春映画が良い感じだ。
ジョン・バリー作曲の主題歌Sail The Summer Windsがまた爽やかな良い曲だ。
こういうタイプの映画はもう流行らない時代になったんだろうか。
この映画やロビー・ベンソンが主演した青春映画の数々が懐かしく感じる。
悲しいかなこの映画もまたDVD化されていない。


ガール・ファイト


ミシェル・ロドリゲスがデビューしたのが、プロの女性ボクサーを迫力満点で演じたこのガール・ファイトだ。
プエルトリコとドミニカの両親の間で生まれた。
エキゾチックでワイルドな鋭い眼光が印象的だ。
S.W.A.T.、バイオハザードなどのヒット作やテレビシリーズLOSTに出演し、存在感を見せていたが、飲酒運転で刑務所に収監されたり、暴力事件を起こしたり、私生活でもワイルドで知られている。
そんな彼女だが、アバターにもキャスティングされ、反抗する女兵士を演じ、ただのじゃじゃ馬じゃないことを証明している。
このガール・ファイトで見せるボクシングへの情熱も彼女でしか感じることができない迫力がある。
出ているだけで迫力を感じる女優である。
今後も私生活ではなく、スクリーンで暴れまわる彼女を観たいものだ。


2010年6月26日土曜日

パリのめぐり逢い


監督クロード・ルルーシュ、音楽フランシス・レイ
イブ・モンタン、アニー・ジラルド、キャンディス・バーゲン主演のフランス映画
長年連れ添った妻と若く知的な魅力に溢れる女性の間で心が揺れ動く中年男イブ・モンタン。
渋くてしっとりした大人のラブロマンス。
男と女に匹敵する秀作にも拘らず、ビデオ化もDVD化もされていない。
モンタンの浮気に気づき、さみし気な表情を浮かべるアニー・ジラルドがなんとも切ない。
映画に漂う空気というか、青みがかった映像から感じる雰囲気がたまらない。
これがルルーシュのフランス映画という感じだ。