2年前の3月3日、映画やアニメの吹き替えでお馴染みの広川太一郎さんが、癌により亡くなられた。享年69歳だった。
広川さんといえば、思い出すのは外国映画の吹き替えだ。お熱いのがお好きやグレートレースの色男トニー・カーチス、3代目ジェームス・ボンドであるロジャー・ムーア、モンティ・パイソンのエリック・アイドルやチキチキマシーン猛レースのキザトト君などを吹き替えた声優界の大御所である。気障な二枚目からいかれた役まで幅広くこなす素晴らしい声優だった。
特にいかれた役で見せる吹き替えは秀逸だった。早口のお姉言葉で、「なんちゃったりしたりしてー」だとか「何をいうやのこんこんちきー」なんてアドリブを入れて吹き替えるスタイルは、単なる吹き替えと言えない見事な話芸だった。
カッコイイ二枚目もコメディーの吹き替えも本当に見事だったから、少々映画の出来が悪くても、吹き替えの力で見れる作品にしていたし、映画に出演している俳優を魅力的にしてくれた稀有な魅力を持った声優さんだった。
私が好きだった吹き替えは、なんといっても愛川欣也のジャック・レモンと広川太一郎のトニー・カーチスの掛け合いだ。代表作に上げたお熱いのがお好きもグレートレースもこの二人のおかげで本当に楽しませてもらった。
マイケル・ホイのMr.BOOにあれだけ人気が出たのは広川太一郎の力によるところも大きい。
何年か前、吹き替えの力でつまらない作品がどれだけ面白くなるかという試みで、超B級作品のクイーンコングという映画を吹き替え版だけで公開したことがあった。数多くの映画が公開されているが、吹き替え版だけが公開されるのは中々ないだろう。広川太一郎さんとともに、のび太やドロンジョでお馴染みの小原乃梨子さんが吹き替えをした。映画が面白くなくても吹き替えで魅せられる数少ない声優さんだった。
吹き替え以外にも役者やラジオのパーソナリティでも活躍されていた。
WIKIPEDIAにこんな逸話が書かれていた。
ラジオ関東の深夜放送『男たちの夜かな』は伝説的で、広川自身が私財をなげうち、自らスポンサーとなって放送していた。女学生を中心に莫大な投書が寄せられ、シンナー中毒の女学生とその友人に話をする為、自ら更生施設に出向いたこともあったという。
元祖ルパンの山田康雄さん、ヤマトの古代進役の富山敬さんが亡くなられた時もみんなに惜しまれたが、広川さんも同じように寂しく感じるし、残念な限りだ。
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