大好きなウィリアム・ワイラー(William Wyler)の大いなる西部(The Big Country)を見た。
ウィリアム・ワイラーといえば説明も要らないほどの巨匠だ。何が凄いかというと、その幅の広さである。数ある作品の中でも、良く知られている映画だけを並べてみた。
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人間ドラマ、ロマンス、ウェスタン、史劇、コメディ、サスペンス、ミュージカルまで、どれも一流。ワイラーの映画は、軽快でテンポが良く騒々しさがない見やすい映画が多い。ワイラーの術中にはまって、見入ってしまうような作品が多い。ヘップバーンのローマの休日を撮った監督がベン・ハーやコレクターを撮った監督と同一人物だから凄い。名人芸としかいえない小気味の良い演出もこの監督ならではだ。
大いなる西部 The Big Country (アメリカ・1958年作品)
監督:ウィリアム・ワイラー
製作:ウィリアム・ワイラー、グレゴリー・ペック
原作:ドナルド・ハミルトン
脚本:ジェームズ・R・ウェッブ、サイ・バートレット、ロバート・ワイルダー
脚色:ジェサミン・ウェスト、ロバート・ワイラー
撮影:フランツ・プラナー
音楽:ジェローム・モロス
美術:フランク・ホテリング
題字:ソウル・バス
キャスト:
グレゴリー・ペック、ジーン・シモンズ、キャロル・ベイカー、チャールトン・ヘストン、バール・アイヴス、チャールス・ビックフォード、アルフォンソ・ベドーヤ、チャック・コナーズ
映画の冒頭、西部の大平原をバックに幌馬車が疾走する。あのバイオリンなどの弦楽器の疾走感にあふれる演奏が流れる。
1870年代のテキサスに東部から1人の紳士が訪れる。グレゴリー・ペック演じるジム・マッケイだ。この町の有力者であるテリル少佐(チャールズ・ビックフォード)の娘パット(キャロル・ベイカー)と結婚するためにやってきたのだ。ジム・マッケイは、物静かで温厚な人物でグレゴリー・ペックにぴったりの役柄だ。テリル少佐の邸宅から見渡す荒野は、まさに大いなる西部だ。
テリル少佐は、根っからの西部の男。自分も家族も土地も力で守る。自分が法律だと信じている。父親を慕うパットも父親譲りの負けん気の強い女性だ。パットは、テリル少佐と反目しあうヘネシー家の息子バック(チャック・コナーズ)にちょっかいを出されても、抵抗もしないジムに苛立つ。
テリル少佐に拾われて牧童頭として仕えるリーチ(チャールトン・ヘストン)は、この東部のやさ男が気に食わない。密かにパットに心を寄せるリーチは、ジムを挑発するが、一向に乗ってこない。
ヘネシー家とは、パットの友人でもあるジュリー(ジーン・シモンズ)が所有する牧場の水源を巡って長年反目しあっている。それを知っているジュリーはどちらにも牧場を譲ろうとしない。ジムは、この対立を解決するため、ジュリーから土地を買取り、お互い水が使える計画を考える。
テリル家の誰にも説明せず、行動に出るジム。1人だけでジュリーの牧場へ向かい、ジムはジュリーにこの計画を話す。ジムの人柄と彼の勇気のある行動を感じ、ジュリーはジムに牧場を売る決意を固める。
突然、姿を消したジムを心配していたパットは、ひょっこり帰ってきたジムにバックやリーチに挑発されてもはむかわないジムが臆病者呼ばわりされていることの不満をジムにぶつける。ジムは、この家を出て行くことを決意する。
ジムはこの牧場を後にする前に、リーチを訪ねる。牧場を出て行く前にジムは自分の思いをリーチに伝えるため、男同士でとことんまで殴り合った。殴り合えば、男同士は分かり合えるといった西部劇の定番のシーンだ。
ヘネシー親子(パール・アイブス、チャックコナーズ)は、ジュリーを無理やり連れてきて、彼女の牧場を譲り受けようと考えるが、既にジムに売り渡しことを知り、激怒する。ジュリーが連れ去られたことを知り、テリル一家もヘネシー一家と決着をつけるために、ヘネシー一家のあるブランコ谷へ向かう。それを知ったジムも、ヘネシー一家の元へ向かうのだが、・・・。
これ以上は言えねえ、言えねえ、もう言えねえ。
とにかく軽快な展開であれよあれよと持っていかれる。良い映画なのだ。若い日のチャールトン・ヘストンも野性味たっぷりでカッコイイし、ジーン・シモンズやキャロル・ベイカーも綺麗だし、グレゴリー・ペックの飄々とした演技がまた良い感じなのだ。大いなる西部を感じたい人、まだ見ていない人は是非見てほしい映画だ。
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