2010年12月31日金曜日

もう少しで謹賀新年



あと少しで2011年の年明けである。
来年は「卯年」4番目の干支である。
写真は昔飼っていたうさぎたちだ。
ポコとモモ。
二匹がいなくなって久しい。

「卯」の形は、よく見ると両側に開く門の形に見える。
門を無理やり押し開けて中に入り込む様を表しているそうだ。
何もしないと門は開かない。
来年は、自分の力でがんばって門を押し開ける年にしたいものだ。

2010年10月24日日曜日

やさしい嘘と贈り物







やさしい嘘と贈り物

この映画は、ニック・ファクラーという24歳の若者が脚本・監督した心温まる作品だ。
この作品の脚本を書き上げたのが、17歳の時、名優マーティン・ランドーが惚れ込み、制作総指揮を買って出たそうだ。
主演は、『エド・ウッド』でアカデミー賞を受賞したマーティン・ランドー。
共演のエレン・バースティンも『アリスの恋』でアカデミー賞を受賞。
二人の名老優が、綴る物語は優しく悲しい。

ロバートは、スーパーで働く一人暮らしの老人。
クリスマスが近づいていたが、一人で過ごす寂しい日々を送っていた。
そんなある日、向かいに暮らすメアリーと知り合う。
メアリーは、以前からロバートのことを気にかけていたのだ。
メアリーの誘いでロバートは、彼女とディナーに出掛けるのであった。
他愛のない話に少年と少女のように時めく二人。
雪の舞う町をゆく聖歌隊を眺めながら、手を重ね合う。
その日から、町を二人で歩き、子供のようにそり遊びに興じ、楽しい時間を過ごすのであった。
やがて、クリスマスを迎え、ロバートは忘れていた日を思い出す。

ここからはネタバレなので、まだ見ていない人は、ご注意を。

楽しいクリスマスの夜をメアリーと共に過ごし、幸せな気持ちに包まれていた。
しかし、その翌朝、ロバートが目を覚ますと、メアリーの姿が隣になかった。
ロバートは、メアリーに置き去りにされたと思い込み、錯乱してしまうのであった。
幾度もつながらぬ電話をかけ、混乱していた。
その時、メアリーが帰ってきた。
ロバートはメアリーに毒づき、混乱は収まらず、メアリーの家に飛び込む。
そこでロバートは壁に飾られたロバートとメアリーやスーパーの上司マイクと笑顔で並ぶ写真を目にする。
ロバートは認知症でメアリーや息子のマイクのことを忘れていたのだ。
メアリーやマイクは、ロバートに気づかれない様に影から支えていたのであった。
一瞬、記憶を呼び起こしたが、次の瞬間、意識を失い倒れてしまった。
ロバートは病院に運ばれるが、残された時間はわずかだった。
枕元に寄り添うメアリー。
手を握りあう二人の姿がそこにあった。

認知症という題材を愛情深く繊細に紡いだ作品は、24歳の若者が撮ったとは思えない本当に素敵な作品だった。
忘れた過去は取り戻せない。
それを新しい思い出で埋めようとするメアリーの姿が切なく美しい。

少し早いがクリスマスの夜、愛する人とみてほしい作品だ。
悲しいが、心の芯が温かくなってくるだろう。
二人の老優の素晴らしい共演があって、24歳の若者の才能が開花した。
今後の作品に期待したい。

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2010年9月11日土曜日

不機嫌な赤いバラ


シャーリー・マクレーン、ニコラス・ケイジ主演のハートフルなコメディ作品。
1994年の作品だから、『月の輝く夜に』や『ワイルド・アット・ハート』で頭角を見せ始めた頃の作品だ。
この年には、ブリジット・フォンダと共演した『あなたに降る夢』も公開されており、この2作品でニコラス・ケイジの善良で誠実なキャラクターが、私の中で定着した。
この後、『ザ・ロック』、『コン・エアー』、『フェイス・オフ』と大規模なアクション映画に出演するが、悪役に回っても人の良さを感じてしまう。
その原型がこの『不機嫌な赤いバラ』で元大統領夫人を警護するシークレットサービスのエージェント役だ。
元大統領夫人には、『アパートの鍵貸します』から昨年公開された『ココ・シャネル』まで一線で活躍してきたシャーリー・マクレーンが演じていた。

大統領を亡くした未亡人は、寂しさからケイジ演ずるダグ護衛官に小言を言ったり、わがままのし放題。
早朝からゴルフに出掛けてみたり、急にオペラ鑑賞に行ったりと、ダグをはじめ護衛官達はいつも彼女に振り回されていた。
婦人のわがままにほとほとうんざりしていたダグは念願かなって人気を終え、ワシントンに戻ることになったが、それも束の間、婦人が大統領に電話を掛け、ダグは再び婦人の警護に付くのであった。
婦人はダグと衝突していたが、彼の誠実なところを気に入り、離れていくのが寂しかったのである。
そんなある日、ダグだけを護衛につけて湖畔に出掛けたとき、一瞬の隙をついて婦人が誘拐されてしまうのであった。

シャーリー・マクレーンは演技では出来ない彼女自身から感じるチャーミングさがある。
いくつになっても可愛いのだ。
わがままを言っても、へそを曲げても、憎めない愛くるしい表情がある。
それが、善人で生真面目なケイジと相まって、二人の間にじわじわと滲み出てくる心のつながりが素敵である。
この映画の原題は「Gurding Tess」と味気のないタイトルだが、邦題は凄く良いセンスのタイトルだ。
シャーリー・マクレーンは、まさしく不機嫌な赤いバラなのだ。
すごく大掛かりなサスペンスでもないし、大爆笑する映画ではないが、しみじみ伝わる暖かさが心地良い映画である。


2010年8月7日土曜日

デーブ



『ゴースト・バスターズ』のアイバン・ライトマン監督によるヒューマン・コメディ。
主演はケヴィン・クライン。

容姿が、ビル・ミッチェル大統領に瓜二つである理由で、人材派遣会社を営むデーブが大統領の替え玉に雇われる。
興味本位で気軽に替え玉を引き受けたことが切っ掛けで、デーブの運命が大きく変わってしまう。
デーブに代役を任せ、秘書とアバンチュールを楽しんでいた大統領は、突然脳卒中を患い、植物人間になってしまったのだ。
大統領特別補佐官のボブ・アレグザンダー(フランク・ランジェラ)は、ミッチェル大統領の後釜を狙う野心家でもあり、大統領の病状を偽って公表し、替え玉のデーブをしばらくの間代役に立てようとした。
報道官のアラン・リード(ケヴィン・ダン)と共にナンス副大統領(ベン・キングスレー)は精神的な問題があると偽りの説明をし、国家の危機を救うという名目でデーブを説得した。
ミッチェル大統領との夫婦仲が冷め切っていたファーストレディであるエレン(シガニー・ウィーバー)をも騙し、デーブは見事に大統領として行動するのであった。
ある日、大統領はエレン婦人が力を入れているホームレスの保護施設の視察をすることになった。
ホームレス施設には多くの子供たちが暮らし、その事実にデーブも驚くのであった。
デーブはみんなから離れて一人で遊ぶ少年に声をかけた。
手品を見せ、少年の心を開こうと語りかける姿を見て、驚きながらも喜ぶエレン婦人の姿があった。
しかし、アレグザンダー補佐官の手により、ホームレス保護の法案は、大統領の拒否権で却下され、夫への失望にエレンは怒った。
事実を知り、デーブはアレグザンダー補佐官に抗議をしたが、悔しければ6億5千万ドルを捻り出してみろと言い放たれてしまうのであった。
デーブはどうにかしようと、親友の会計士マーリー(チャールズ・クローディン)をホワイトハウスに呼び出した。
デーブは、マーリーにどうにか6億5千万ドルを捻出できないかと懇願した。
最初は事の大きさに驚いたマーリーであったが、デーブの頼みを聞き入れ穴だらけの予算案の見直しをするのであった。
第100回目の記念する閣議には大勢のカメラも集まり、閣僚達が顔を揃えていた。
デーブは、閣議の冒頭で予定になかった予算の見直しを議題に上げた。
事情を知らなかったアレクザンダーはどうにか食い止めようとするが、後の祭り。
デーブは、様々な無駄を指摘し、最後には6億5千万ドルの捻出に成功するのであった。
デーブの見事な手際に閣僚や記者達も暖かな拍手を送った。
そのニュースを知ったエレンは、大統領が別人でないかと疑い、替え玉であることを見抜いてしまった。
大統領が危篤状態である事を知り、一度はホワイトハウスを出て行く決意をし、デーブと外に出たのであったが、デーブの人柄を知り人のために役立つことができる希望を持ち、二人でホワイトハウスに戻った。
デーブは、不正を推し進めるアレグザンダー補佐官を解雇した。
アレグザンダー補佐官の策略でナンス副大統領は不正の疑惑に掛けられていたが、デーブをも失脚させるため、大統領が過去に犯した不正も暴露してしまった。
大統領の不正は事実であり、デーブは誠実な副大統領の潔白を証明するため、シークレットサービスのデュエーン・スティーヴンソン(ヴィング・レイムズ)やリード報道官とある行動に出るのであった...

この映画、大好きな映画である。
何度見ても楽しいし、すかっとした気分になる。
主役のケヴィン・クラインをはじめ配役が素晴らしい。
芯の強い女性を演じたらピカイチのシガニー・ウィーバー。
重みのある悪役は、『フロスト×ニクソン』でニクソン大統領を演じたフランク・ランジェラ。
人の良い親友マーリーにはチャールズ・クローディン。
誠実な副大統領は演技派のベン・キングスレー。
無口だが人間味のあるシークレットサービスのスティーヴンソンは、ヴィング・レイムズ。
デーブの行動を見て改心する報道官には、ケヴィン・ダン。
芸達者な役者たちを役柄にマッチして配役しているのが素晴らしい。
人間味とユーモアにあふれた素敵なコメディである。

まだ観ていない人にはお薦めの1本だ。

2010年8月6日金曜日

アンダーワールド



ケイト・ベッキンセール主演。
近頃は吸血鬼が登場する作品は単純にホラーにカテゴライズ出来ない。
本作は、MTV界の鬼才、レン・ワイズマンによる初監督作品で、ゴシック・サイバー・アクションと言うようだ。
さすがにMTV出身だけあって、ヴィジュアルな映像は洗練されている。
そして、何と言ってもボンテージ・スーツに身を包んだケイト・ベッキンセールがクールだ。
セレンディピティ以来、彼女のファンである。
また、吸血鬼の長老ビクターを演ずるビル・ナイも大好きな役者さんだ。
『スティル・クレイジー』の夢を諦められない初老のロッカーをはじめ個性的で魅力ある役を数多くこなしている。
本作での長老役も存在感抜群である。

この作品は、何百年にもわたるヴァンパイアと狼男=ライカンの闘いを描いている。
ケイト・ベッキンセールは、ライカンを狩る戦士セリーン。
夜の街、高い塔の上から黒いレザーコートをはためかせ、ライカンの動きに目を光らせるシーンが超クールだ。
ポスターにも使われているシーンでもある。
青白い肌に青い瞳。
漆黒のスーツに身を包むベッキンセールはまさに孤高の戦士にふさわしい。

ライカンの首領であるルシアンは宿敵であるヴァンパイア族を倒すため、特殊な遺伝子を持つ人間を探していた。
それが、青年医師マイケルであった。
マイケルを追うライカン。
それを阻止するセリーン率いるハンター。
ヴァンパイア族内部の裏切りを知り、セリーンは掟破りを承知の上で、まだ目覚めの時期に来ていない長老ビクターを目覚めさせる。
そして、ライカンとヴァンパイアの雌雄を決する闘いが始まるのであった。

この作品の成功により、続編である『アンダーワールド・エボリューション』とライカンとヴァンパイアの対立の始まりを描いた『アンダーワールド・ビギンズ』が制作された。
ビギンズでは、残念ながらベッキンセールはキャスティングされていないが、彼女の見た目や雰囲気がよく似ている『ドゥームズ・デイ』のローナ・ミトラが出演している。

MTV出身のヴィジュアルの拘りだけでなく、ストーリー展開やアクションの秀逸さ、ビル・ナイをキャスティングするセンスの良さもあり、見応えのあるクールな作品だった。
でも、やっぱりベッキンセールの魅力に尽きるなあ。



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2010年8月4日水曜日

9時から5時まで



3人のOL ジェーン・フォンダ、リリー・トムリン、ドリー・パートン主演のコメディ。
彼女達は立場が違うが、同じ職場のセクハラ・パワハラ上司に悩まされていた。
ジュディ(ジェーン・フォンダ)は、離婚を切っ掛けに就職したばかり。
要領がつかめない彼女はミスをしては上司のフランク・ハート・ジュニア(ダブニー・コールマン)に無能呼ばわりされていた。
フランクは副社長であるが、古株のベテランOLバイオレット(リリー・トムリン)の有能さに助けられて出世したのであった。
しかし、彼女は昇格も何もなく、正当に評価されない事を不満に思っていた。
秘書ドラリー(ドリー・パートン)は、フランクに気に入られていたが、既婚者の彼女は度重なるセクハラに嫌気がさしていた。
そんな彼女達が、偶然酒場で顔を合わせた。
日頃の鬱憤をぶちまけ合い、すっかり意気投合してしまった。
彼女達は、自分がもしフランクを始末するならどんな方法をとるか 話し合うのであった。
この空想シーンがなかなか面白い。
西部のガンマンになって撃ち殺したり、童話のお姫様になって毒殺したりと、それぞれの空想を映像にしていた。
リリー・トムリンのお姫様がアニメのウサギや森の動物と話すシーンまで撮っていて、なかなか面白かった。
その翌日、フランクに出したコーヒーに誤って猫いらずを入れてしまい、偶然にも椅子から転げ落ちて気を失ったフランクが病院に運ばれて行ったことから、3人は慌てるのであった。
てっきり毒殺してしまったと思い込んだ彼女達は、病院に行って他人の死体を持ち出してんやわんやの大騒動。
結局は次の日にフランクが会社に現れ、自分達の勘違いと分かりほっと一安心したのも束の間、フランクに彼女達の話が密告されてしまうのであった。
事実を知ったフランクは、彼女達を脅迫したが、逆に彼女達に縛られ自宅監禁されてしまった。
フランクが不在の間に彼女達は、働く女性のための託児設備を設けたり、多くの改善を行った。
結果として、20%もの効率アップを成し遂げてしまった。
しかし、いつまでもフランクを監禁しておく訳にもいかず、2週間後にフランクを解放した。
彼女達の努力もこれまでと思っていたが、奇跡が起こった。
滅多に姿を現さない会長が効率化に成功したと思っていたフランクに会いに来たのだ。
フランクは事情を察し、自分の功績であるかの如く会長と話した。
会長はブラジルの僻地で始める新事業にフランクを抜擢したのであった。
思いもよらない展開でフランクはブラジルへ行く羽目になり、彼女達は嬉々として喜んだ。

と、こんな感じのコメディだが、テンポも良く明るい3人のキャラクターも立っていて、なかなか楽しい作品だった。
リリー・トムリンのクールな感じやドリー・パートンのお色気むんむんの可愛いキャラクターにジェーン・フォンダの少しとぼけた雰囲気が良い感じに相まっていた。
因みにドリー・パートンの映画出演はこの作品が始めて。
映画向きの良いキャラクターだ。
最後に登場する会長はスターリング・ヘイドンだが、グレゴリー・ペックやチャールトン・ヘストンの名前も上がっていたそうだ。

ジェーン・フォンダは、シリアスな作品から若い頃のエロチックな作品にコメディと様々な作品に出演し、それぞれのジャンルで魅力を放っている。
西部を舞台にし、リー・マービンと共演した『キャット・バルー』もなかなか面白かった。
コメディエンヌとしても才能ある女優さんだ。

9to5 9時から5時までは、気軽に楽しめるおすすめの作品である。

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