2010年7月30日金曜日

ケース39



今日のブログは最近のホラーのネタばれが多いかも知れないので足からず。

主演レニー・ゼルウィガーのホラー映画である。
ケース39とは、児童福祉で担当した39番の事例のことだ。
39番は、少女リリー(ジョデル・フェルランド)が両親から児童虐待を受けている疑いがあり、保護すべきかどうか調査する必要があった。
ソーシャルワーカーのエミリー(レニー・ゼルウィガー)が家を訪ねると両親達の異常な行動から虐待があると確信する。
ある晩、リリーから助けを求める電話が掛かり、知り合いの刑事とリリーの家へ向かった。
リリーの大きな悲鳴を聞きつけ、家に踏み込んだ。
リリーは両親にオーブンに閉じ込められ焼かれようとしていた。
間一髪、リリーは救い出され、両親は逮捕され、裁判所の判断で精神科に収容されることになった。
リリーには新たな里親を探すことになったが、リリーの希望もあり、エミリーも見過ごすことができず、審問を受けて里親が決まるまで一緒に暮らすこととなる。
その日を境に周囲で悲惨な事件が次々と起こるのであった。
内気でおとなしい少年が両親を惨殺したり、同僚が謎の死を遂げる。
さて、エミリーに何が起ころうとしているのか...

と、どっかで聴いたような話ではなかろうか。
そうである最近の作品の中では良くできたホラー『エスター』とシチュエーションが似ている。
あっちは孤児院、こちらは児童虐待と違うが、少女が新しい里親を探すことから悲劇が始まるところは同じだ。
少女も色白で黒髪の少女。
徐々に本性を現すあたりの恐ろしさもよく似ている。
で、どっちが怖いかと言えば前半は同点で後半はエスターが少しポイントリードというところかな。
レニー・ゼルウィガーの貫禄がある分で補ってはいるが、総合得点は僅差で『エスター』の勝ちだろうか。

最近、DVDで観たホラーでは、この2作品と『スペル』の3作品だが、『スペル』が怖いのは前半だけで、主人公の女性の身勝手さに同情できないところもあって、後半は自業自得と思ってしまった。
前半がぞっとする怖さがある分、後半の残念な展開が勿体ない気がする。

ホラーは大好きだが、面白いか面白くないかの別れ目は1点だと思う。
恐怖の正体が分からないからこそ、不気味で不安になるのであって、正体の詳しい説明は不要である。
もし種明かしするとしても、映画の最後の最後に納得する内容をポンと見せてほしいものだ。
得体が分からなければ、続編も作れるし、分かりやすい説明は不要だと思う。
観ている側は、正体を知りたいから食い入るように観るが、教えちゃうと興醒めになる。
頭の中で膨らむ恐怖が一番怖いのだ。

例えば『REC』だが、断片的な情報だけで、理路整然とした原因の説明はない。
『リング』もやはりそうである。
『呪怨』なんて全く意味不明だ。
何か分からないが、恐怖は連鎖し、終わっていないことだけが伝わってくるとぞぞっとする。
『REC:2』は、そういう意味では謎解きし過ぎて白けてしまった。
意味の分からぬ恐怖がどこかにいってしまった。

『ブレアウイッチ・プロジェクト』や『パラノーマル・アクティビティ』は典型的な意味不明の恐怖だから成功したのだろう。
個人的にはやり過ぎで疲れる映画で、好みじゃないが狙いは正しいだろう。

そういう目で観ると、最近のホラーの個人的な採点はこんな感じだ。

スペル 60点
エスター 75点
ケース39 70点
REC 80点
REC:2 65点
パラノーマル・アクティビティ 70点

この中では、やはり『REC』、『エスター』が怖かったかな。

同じホラーでも馬鹿馬鹿しくって面白いのは、『ファイナル・デッド・サーキット』や『処刑山』だ。
ちょっとグロいところはきついが、アトラクション感覚で楽しむ映画だ。

という訳で、『ケース39』は劇場公開しなかったそうだが、それなりには面白かった。


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2010年7月28日水曜日

ビッグ・ウエンズデー



ジャン・マイケル・ヴィンセント、ウィリアム・カット、ゲーリー・ビジー。

1960年代のはじめ。
アメリカ、カリフォルニア。
マット、ジャック、リロイの3人のサーファーがいた。
彼らは波に乗り、馬鹿騒ぎをし、青春を謳歌していた。
彼らの夢はビッグ・ウェンズデーの大波に乗ることであった。
ビッグ・ウェンズデーとは、伝説の大波であり、その大波は水曜日に現れるとサーファー達は信じていた。
彼らは、ベアー(サム・メルヴィル)という伝説のサーファーを慕っていた。
ベアーは桟橋の小屋に住み、サーフボードを作り、伝説の大波を待っていた。

時の移り変わりの中で、ベトナム戦争の徴兵で仲間を失ったり、結婚して家族を持ち、様々なことに翻弄されながらも、マットは伝説の大波を待ち続けていた。
ジャックやリロイとも顔を合わすことも途絶えていたある日、伝説の大波が訪れるのであった。
ビーチに向かうマットの前にロングボードを手にしたジャックとリロイの姿があった。

1978年のジョン・ミリアス監督による青春映画。
ミリアス監督は、『ダーティー・ハリー』や『地獄の黙示録』の脚本家として知られており、『風とライオン』や『コナン・ザ・グレート』も彼が監督した作品である。
映画自体はフィクションであるが、映画に登場するエピソードの多くは実際のサーファー達の体験を元にしている。
サーフィン・シーンの映像も迫力があり、壮大な青春映画として作られている。
伝説のサーファーであるジェリー・ロペスも本人役で出演している。

マット達が勝手に人を呼んでジャックの家で乱痴気騒ぎをしたり、二日酔いのマットを海に連れて行って酔い覚ましに波に乗せるエピソードが楽しかった。
徴兵から逃れるため、仲間達とわざと検査に不合格になるよう、ゲイを装ったり精神病のふりをしたが、一部の仲間はベトナムに送られ帰って来れなかった。
検査でのあの手この手が可笑しかったが、帰って来れなかった仲間の墓の前で酒を酌み交わす3人の姿が悲しかった。

この映画の魅力は主役の3人の魅力に負うところが大きい。
ジャン・マイケル・ヴィンセントは数多くの映画に出演したが、爽やかなキャラクターを生かせる作品よりも『魔鬼雨』などのB級作品に出演する方が多く、本作でやっと彼の鍛えられた肉体と人好きのするキャラクターを生かせる作品に巡り会えた。
この映画以降にも多くの作品に出演したが、本作以上の作品には出演していない。
テレビ・シリーズでは、1986年に公開されたエア・ウルフが大ヒットし、日本でも人気を博した。

ゲーリー・ビジーは、この後も多くの作品にバイプレイヤーとして出演している。
タフな悪役として出演することが多いが、存在感のある役者として活躍している。
一時期はコカイン中毒で命を落としかけるまでに至ったそうだが、今は麻薬を克服している。

ウィリアム・カットもやはり多くの作品に出演したが、大作には巡り会えなかった。
スターウォーズのオーディションにも挑み、ルーク・スカイウォーカー役のフィルム・テストも行ったが、スカイウォーカー役にはマーク・ハミルが選ばれた。
その後、カットもテレビ・シリーズ『アメリカン・ヒーロー』に出演し、人気シリーズとなった。
その後は、テレビ作品や声優などで活躍し、HEROS3でもレポーター役で出演している。

3人とも本作以降に様々なことがあったが、彼らにとっても本作はビッグ・ウェンズデーだったようだ。

スラップ・ショット



『明日に向かって撃て』のジョージ・ロイ・ヒル監督とポール・ニューマンが作った愛すべきスポーツコメディ。

アメリカのプロ・アイスホッケーチームであるチャールズタウン・チーフスのコーチ兼プレイヤーのレイジーことポール・ニューマンが、低迷するチームを立ち直らせ、翌年に向けてあの手この手と奔走する。
オーソドックスな戦いを続けていたチーフスは、チームがスカウトしたハンセン3兄弟と契約し、彼らをゲームに出したことで一変する。
ハンセン兄弟は、皆 長身・長髪でど近眼。
遠征でも常におもちゃを持って行き、ホテルの部屋でレーシングカーで遊ぶという変わり者。
レイジーは、このいかれた兄弟をお荷物と思っていた。
しかし、ある試合で主力選手の多くが負傷し、彼ら3人が出場する。
黒縁の眼鏡をかけたハンセン3兄弟は、ゲームに出場するなり相手選手を弾き飛ばし、挟み込んだりと目のさめるようなラフプレイで大暴れ。
チームの低迷にストレスで鬱憤の溜まっていた観客も大喜び。
殴る蹴るの派手なプレイで途中退場になってしまうが、チームは勝利を手にし、ファンの大きな声援を得た。
チームのスタイルは一変し、ラフプレイで連勝し、ハンセン兄弟をはじめ大きな人気を得る。
ある試合で観客から投げられたチェーンがハンセン兄弟の一人の眼鏡に当たり、観客席に乱入して大暴れになった。
ハンセン兄弟は、その暴行で留置所に入れられることになったが、さらにチームの人気を高める結果となった。
レイジー自らが、ラジオ放送で相手チームの中心選手を潰したメンバーに100ドルの賞金を渡すと言ったり、もうはちゃめちゃ。
連勝を続け、いよいよ優勝目前に迫るチーフス。
さて、彼らに明るいオフは訪れるのか...

と、下品な言葉もバンバン言うは、格闘技並みのラフプレイは飛び出すはと、やんちゃな男たちが暴れまわる爽快なコメディだ。
離婚を迫られる妻や女性が絡むエピソードも盛り込まれているが、追い詰められた男たちの真剣さをリアルにするためのおまけのような物。
見所は、はちゃめちゃな男たちがリンクで暴れまわるシーンだ。

この映画の出演者はポール・ニューマンをはじめ役者達だが、リアルなゲーム・シーンを撮るため多くのプロ・プレイヤーが登場している。
ハンセン3兄弟も現役のプレイヤーがオフを利用して出演した。
彼らはインタビューで語っていたが、いつも通りの雰囲気で暴れ回ってくれれば良いと監督から言われていたそうだ。
リアルなシーンを撮るために苦労していたのは、プロ・プレイヤーではなく役者達だったようだ。
ハンセン兄弟の3人ともが口を揃えて言っていたのは、ポール・ニューマンのスケーティングが上手いということだ。
さすが、ポール・ニューマン。
並みのスターとは少し違う。

ジョージ・ロイ・ヒルはポール・ニューマンとロバート・レッドフォードと映画を多く撮った。
『スティング』、『明日に向かって撃て』では2人と、本作ではポール・ニューマンと、『華麗なるヒコーキ野郎』ではロバート・レッドフォードと作品を作っている。
いずれも、少し馬鹿馬鹿しいが愛すべき男たちを描いた作品だ。

この映画は本当におすすめだが、やはりハンセン兄弟の大暴れが一番面白い。
ラストのシーンも馬鹿馬鹿しくって、適当と言えば適当なんだが、良い余韻が残る楽しい映画だ。
因みにハンセン兄弟役の3人はこの映画の影響もあって人気を博し、多くのチャリティー・イベントでも活躍しているそうだ。


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2010年7月12日月曜日

アート

スターのポートレートをiPhoneのappでレタッチしてみた。

スティーブ・マックイーン


グレース・ケリー


ポール・ニューマン


オードリー・ヘップバーン


ハリソン・フォード


ドミニク・サンダ


ショーン・コネリー


アヌーク・エイメ


ヘンリー・フォンダ



ジャクリーン・ビセット


アラン・ドロン


ブリジット・バルドー

2010年7月1日木曜日

キャノンボール


ロサンゼルスからニューヨークまでの5000キロをルール無用で車で走り切る。
獲るのは名誉だけ。
このレースに出場するスター達が凄い顔ぶれだ。
バート・レイノルズ、ディーン・マーチン、サミー・デイビスJr.、ジャッキー・チェン、ロジャー・ムーア、ファラ・フォーセット・メジャーズと錚々たる面々が顔を揃えている。
ロジャー・ムーアは007気取りでアストンマーチンに乗ってレースに参加する英国紳士で登場する。
自分で自分をパロディで演じるのが面白い。
サインまでロジャー・ムーアと書く始末。
ディーン・マーチンとサミー・デイビスJr.は、牧師に扮装し、警察の目から逃れようとする。
ジャッキーは日本人として三菱の車で参戦。
カメオ出演でイージーライダーのピーター・フォンダまで登場する。
話の筋がどうのこうのは関係ない お祭り騒ぎ的な作品である。
制作は、香港のゴールデンハーベストと20世紀フォックスの共同制作だ。
この映画はヒットし、ジャッキーやバート・レイノルズ、サミー・デイビスJr.、ディーン・マーチンなど主なメンバーはそのままで、スーザン・アントン、テリー・サバラス、007のジョーズことリチャード・キールが出演したパート2が作られた。



古くは、グレート・レースや素晴らしきヒコーキ野郎などの映画にあったレースを舞台にした華やかなオールスターによるコメディの雰囲気を持った楽しい映画だ。
最近は、こういう馬鹿馬鹿しい楽しい映画は見かけなくなってしまった。
馬鹿馬鹿しい話をオールスターで制作し、何も考えずに楽しめる作品が少なくなったのはさみしい限りだ。