2010年2月28日日曜日

白い嵐



少年のための海洋学校訓練船アルバトロス号。
チャックは両親の心配を聞かず訓練に参加する。
彼のほかにも金持ちの息子フランクや、気が弱く高所恐怖症のギルなども参加する。
船長の厳しい指揮のもと、少年達は様々な経験を通し、たくましく成長していく。
仲間との連帯感も芽生えていくのだが、予期せぬ出来事が彼らを待ち受けていた・・・。

熱い友情、男らしさ、信念を貫き通す勇気に感動した。
リドリー・スコットが選ぶ題材の幅の広さに感心した。

普通の物語ならば、少年達の成長を描くだけで終わるのだが、この作品では後半に自然の猛威が立ちはだかる。
得たものの大きさと失ったものの大きさの両方を描いている。
愛する妻が海の底に消えていくシーンは胸が押しつぶされるつらさがあり、高所恐怖症を克服した少年が船室に閉じ込められ同じく命を落としていく場面も大きな悲しみに包まれていた。
避けられない事故であるが、つらすぎる現実。
この現実を乗り越えていこうとする姿に胸を打たれた。
海事審判の席で打ち鳴らされる鐘で船長と少年達が抱き合う場面はに救われた。
熱い絆、信念を貫き通する勇気の素晴らしさが、実感をもって伝わってきた。
一人の少年と船長を軸に描かれたこの作品の投げかけた世界は大きく心に残った。
作者の観念的・抽象的な描写もなく、事実を淡々と綴り難解な映画でないところにも好感が持てた。
演ずる少年達もこの映画を素晴らしいものに仕上げている。


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