2010年2月26日金曜日

エイリアンズ・オブ・ザ・ディープ



タイタニック、エイリアン2、アビスなどの大作を手がけたジェームズ・キャメロン監督が制作した深海の映像を記録したドキュメンタリーであるエイリアンズ・オブ・ザ・ディープを観た。
沈没した豪華客船タイタニックやビスマルクの深海探索に続き、深海艇を使って深海を冒険するドキュメンタリーだ。深海に生きる今まで見たことのないような神秘的で未知の生命体を、ジェームズ・キャメロン監督が海洋学者、宇宙生物学研究者、NASAの研究員、地質学者とともに調査する映像が記録されている。
水深3000mを超える深海では、地殻に浸み込んだ水が熱せられ沸騰し噴出す熱水孔がある、熱水孔は400度近い高温で有害な化学物質が吐き出される。普通の感覚では、生命が存在できる条件が皆無の場所だが、ハオリガイやエビ、カニがコロニーを形成し、太陽も届かない世界で生きている。噴出孔には夥しい数のエビが群生しており、バクテリアを餌とし、噴出する水の熱をエネルギーに生きているのだ。映画では4台の深海艇が登場する。2台は操縦席がアクリルの球体となっており、もう2台は卵型の船体に大きなスクリューが付いたタイプだ。球体のものは、800メートル程度の深海には潜水できるが、それ以上はあとの2台の深海艇が潜水調査を行う。
この映画を観ていると、キャメロン監督が深海にもぐる目的が良く分かってくる。宇宙に生命体がいるのではといった好奇心だ。太陽系にも水が存在すると思われる惑星が、地球以外に3つある。探査船で調査された火星や木星の衛星エウロパなど、地下には水の存在があり、深海に見られるような熱水孔があれば生命体が存在してもおかしくないという論理だ。なるほど、硫化水素をエネルギーにするバクテリアがいるくらいだから、昔思っていたより現実的なのかもしれない。
この映画を見て、深海でエイリアンに遭遇するSF作品のアビスでキャメロンが何を思っていたのか良く分かった。太陽の光がない世界にも生命は存在し、独自のシステムで生きている世界があり、もしある日太陽が昇らなくとも影響を受けない世界があるという事だ。

この映画を観て、キャメロン監督は、こういう事をするために映画で稼いでいるのだと感じた。海とエイリアンが関係する映画が多いのがその表れだ。この映画を観れば分かってもらえると思うが、キャメロン監督はかなり異質な映画監督だ。映画監督というより海洋学か宇宙研究の学者のようだ。

アビスとエイリアンズ・オブ・ザ・ディープの両作品を見直すとキャメロン監督の思いが伝わり面白いと思う。


0 件のコメント:

コメントを投稿