2010年2月26日金曜日

リトル・ダンサー



1984年。イギリス北部の炭鉱の町。炭鉱夫の父と兄、おばあちゃんと暮らすビリー=ジェイミー・ベルは11歳。母親は既に他界している。ビリーは父親のグラブを持ってボクシングのトレーニングをする毎日。ある日、ボクシングの練習場の横でバレーもレッスンをすることになる。ビリーはボクシングよりもバレーに夢中になり、父親からもらう50ペンスをバレーのレッスンに使ってしまう。やがて、父や兄がそのことを知り、猛反対されるのだが彼の心の底から湧きあがる思いは止められない。バレー教室のウィルキンソン夫人も彼の才能を理解し、彼をロイヤルバレースクールのオーディションを受けさせようとするのだが・・・

理由は好きだから。ベル少年の自然な表情とダンスに魅了された。

炭鉱の町を舞台に夢を追う映画は、『ブラス』や『遠い空の向こうに』があるが、現実の厳しさがあるから夢もあるのだとつくづく思う。豊か過ぎると夢も見ないのかもと思ってしまう。この映画、無理に泣かそうとしていないのに、泣けてしまう。父親が彼の才能を知り、自分の信念を投げ捨て息子のためにスト破りをするところや、最後のバスでいつも威張ってばかりいた兄がガラス越しに寂しくなるとつぶや場面など家族の愛情がよく伝わってきた。この兄弟や父、おばあさんとの言葉じゃない愛情表現が押し付けがましくなく、自然に伝わってきた。そういった愛情を受けた少年を自然に演じているジェイミー・ベルがすごく良かった。ダンスももちろん素晴らしいが自然な演技もまた素晴らしい。面接試験でバレーが何故好きかと聞かれてはっきりした理由は答えられない。なぜならば、好きだから踊るのであり、それが理由であるから答えられない。踊っている時は頭の中は空っぽで何かが体の中から吹き出てくる。それが楽しいということが見ていて伝わってくる。いやーいい映画見せてもらいましたって感じです。


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