2010年2月26日金曜日

拝啓天皇陛下様



渥美清という不世出の俳優。寅さんにも通じるナイーブな優しさを伝える見事な芸に感嘆した。人間の喜びと悲しみを喜劇で表現できる大スターが去って久しいが、いまだに惜しまれる。

がさつで乱暴、明るく陽気な主人公。
しかし、内面は繊細で人を思いやり、好きな女性にも自分の心を伝えられない、ナイーブな優しさがある愛すべき人間。
天性のものなのか、芸なのか、渥美清は自然にそれを演じていた。
彼の内からにじみ出る人の良さや味わいは、彼だけの味わいだ。
テレビドラマで見た『泣いてたまるか』の頃から彼を目にするだけで、子供ながらに楽しい気分になった。
寅さんもそうだが、そんな心優しさゆえに傷つく彼の姿は、何ともいえない哀愁も表現していた。
喜劇役者でありながら、人間の悲しみも表現できる。そんな奥深さに見ているものが引き込まれる。

この映画でも、ついに幸せをつかんだと思ったら、事故で亡くなる彼。
映画が進むにつれ彼が大好きになっていくのに、何故。
映画の中では、悲しく切ない気持ちを長門裕之と左幸子が代弁してくれる。

愛すべき男渥美清。不世出の大俳優である彼がなくなって久しいが、もっと彼を見たかった。


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