2010年2月25日木曜日

アラン・ドロン


私は、映画が大好きだが、年とともに好みも変わってくるし、映画の見方も変わってくる。昔から好きだったスターは今でも大好きだが、特にアラン・ドロンは大好きだ。

中学1年の時、亡くなった父がはじめて洋画に連れて行ってくれた。その時に見た映画が、ポセイドンアドベンチャーだ。ジーン・ハックマン主演のパニック映画の超大作だ。豪華客船が津波で逆さまの状態になり、命を懸けた脱出劇を見て、映画の世界の虜になった。それまでのお子ちゃま向き映画と比べものにならない迫力とリアルさに、なんと大人が見る映画は面白いのか、と思った。それからは、テレビの洋画劇場は欠かさず見て、小遣いを貯めて友達と映画を見に行ったり、映画の世界にどんどん引き込まれていった。

その当時は、スティーブ・マックイーン、ロバート・レッドフォード、チャールズ・ブロンソン、チャールトン・ヘストンなどのアクションスターが活躍していたが、雑誌ロードショーの人気投票でいつも1位に君臨していたのは、アラン・ドロンだった。
フランス映画のビッグスターだ。フランス本国では、ジャン・ポール・ベルモンドの方が人気があったそうだが、日本では圧倒的にアラン・ドロンの人気が強かった。繊細で影があり、野望を秘めたクールな2枚目は、日本人好みだったのだろう。トレンチコートに身を包み、雨に濡れたパリの石畳を背中を丸めながら歩くアラン・ドロンはチョーかっこ良かった。女性では、カトリーヌ・ドヌーブが全盛だったので、リスボン特急ではこの2人が共演し、日本のファンは大喜びだったと思う。

最初は、チャールトン・ヘストンのアクション映画ばかり見ていたが、背伸びをしたい年頃の中学時代だったので、よく分かりもしないくせにフランス映画のアメリカ映画にはない屈折した雰囲気に憧れ、クロード・ルルーシュ、ルネ・クレマン、ルイ・マルといった監督の映画を始め、多くのフランス映画を見た。
ジャン・ルイ・トランティニアン、リノ・バンチュラ、イブ・モンタン、ジャン・ギャバンなどの渋い役者のかっこ良さに見とれ、個人教授のルノー・ヴェルレーの青春映画に憧れたものだ。その中でも、アラン・ドロンのかっこ良さは群を抜いていた。

アラン・ドロンのかっこ良さは、悲劇にある。大抵、最後は悲しい結末なのだ。私は基本的に、ハッピーエンドが好きだが、アラン・ドロンに限っては例外だ。あの悲劇の主人公を演じた時にたまらなくかっこいいのだ。
アラン・ドロンとリノ・バンチュラが共演し、ジョアンナ・シムカスが華を添えた冒険者たちは、大好きな映画だが、この時も悲しい結末に終わった。でも大好きな映画なのだ。

◆アラン・ドロン 1935/11/08生まれ フランス・パリ出身
アランドロンは、幼少の頃に父を亡くし、17歳で外人部隊へ入隊。除隊後、世界各地を放浪し、1956年パリに戻り大物プロデューサー、デヴィッド・O・セルズニックと契約。だが、それを破棄してイヴ・アレグレ監督の「女が事件にからむ時」で映画デビュー。1958年「お嬢さん、お手やわらかに!」で日本でも人気が上昇。「太陽がいっぱい」で爆発的人気を得て大スターへと成長する。58年に「恋ひとすじに」の共演者ロミー・シュナイダーと婚約するが、それを破棄してナタリー・バルテルミー(後のナタリー・ドロン)と結婚。64年にハリウッドに渡るものの作品に恵まれずまもなく帰国。その後「サムライ」などを発表してますます人気を誇る。69年にナタリー・ドロンと離婚、ミレーユ・ダルクと同棲する。その頃、彼のボディガードのマルコヴィッチ殺人容疑が掛かり大スキャンダルとなる。やがて殺人容疑は晴れ、製作者としても活動を開始。その後も、「危険なささやき」で監督業に乗り出すなど精力的に活躍。「真夜中のミラージュ」ではセザール賞主演男優賞を受賞。98年、旧友、ジャン=ポール・ベルモンドとの共演で話題を呼んだ「ハーフ・ア・チャンス」を最後に引退宣言をした。しかし00年に復帰しTVドラマを中心に活躍を続けている。ナタリーとの間に生まれたアンソニー、90年に生まれたアノシュカ、94年に生まれたアラン・ドロン・Jrも俳優になった。

  女が事件にからむ時 (1956) <未> 出演
  恋ひとすじに (1958) 出演
  お嬢さん、お手やわらかに! (1958) 出演
  黙って抱いて (1959) 出演
  学生たちの道 (1959) 出演
  若者のすべて (1960) 出演
  太陽がいっぱい (1960) 出演
  生きる歓び (1960) 出演
  素晴らしき恋人たち (1961) 出演
  フランス式十戒 (1962) 出演
  太陽はひとりぼっち (1962) 出演
  山猫 (1963) 出演
  地下室のメロディー (1963) 出演
  黒いチューリップ (1963) 出演
  さすらいの狼 (1964) 出演
  危険がいっぱい (1964) 出演
  黄色いロールス・ロイス (1964) 出演
  泥棒を消せ (1965) 出演
  名誉と栄光のためでなく (1966) 出演
  パリは燃えているか (1966) 出演
  テキサス (1966) 出演
  世にも怪奇な物語 (1967) 出演
  冒険者たち (1967) 出演
  サムライ (1967) 出演
  悪魔のようなあなた (1967) 出演
  太陽が知っている (1968) 出演
  さらば友よ (1968) 出演
  あの胸にもういちど (1968) 出演
  ボルサリーノ (1969) 製作 /出演
  シシリアン (1969) 出演
  ジェフ (1969) 製作 /出演
  仁義 (1970) 出演
  栗色のマッドレー (1970) 出演
  レッド・サン (1971) 出演
  もういちど愛して (1971) 出演
  帰らざる夜明け (1971) 出演
  リスボン特急 (1972) 出演
  ビッグ・ガン (1972) 出演
  ショック療法 (1972) 出演
  高校教師 (1972) 出演
  暗殺者のメロディ (1972) 出演
  燃えつきた納屋 (1973) 出演
  スコルピオ (1973) 出演
  暗黒街のふたり (1973) 出演
  愛人関係 (1973) 出演
  ボルサリーノ2 (1974) 製作 /出演
  個人生活 (1974) 出演
  アラン・ドロンのゾロ (1974) 出演
  ル・ジタン (1975) 製作 /出演
  フリック・ストーリー (1975) 製作 /出演
  プレステージ (1976) 製作 /出演
  ブーメランのように (1976) 製作 /出演
  パリの灯は遠く (1976) 出演
  友よ静かに死ね (1976) 製作 /出演
  チェイサー (1978) 出演
  エアポート'80 (1979) 出演
  未知の戦場/ヨーロッパ198X (1980) <未> 出演
  ポーカー・フェイス/アラン・ドロン・ウィズ・ジャック・ドレー (1980) <未> 製作 /脚本 /出演
  ナイトヒート (1981) <未> 出演
  テヘラン (1981) <未> 出演
  危険なささやき (1981) 監督 /製作 /脚本 /出演
  最後の標的 (1982) <未> 脚本 /出演
  鷹 (1983) <未> 監督 /製作 /脚本 /出演
  スワンの恋 (1983) 出演
  真夜中のミラージュ (1984) <未> 出演
  復讐のビッグガン (1986) <未> 出演
  デーモン・ワールド (1986) <未> 製作 /出演
  シネマ (1988) <TVM> 出演
  アラン・ドロン/私刑警察 (1988) 脚本 /出演
  ヌーヴェルヴァーグ (1990) 出演
  カサノヴァ最後の恋 (1992) 製作総指揮 /出演
  百一夜 (1994) 出演
  ハーフ・ア・チャンス (1998) 出演
  アラン・ドロンの 刑事物語 (2001) <TV> 出演

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