2010年2月26日金曜日

ペイ・フォワード 可能の王国



世界が変わる瞬間を見るなんて、今のしらけきった世の中には本当に大事なことじゃないかと素直に思った。スペイシーやハントがオスメント君に食われない良い演技。これを偽善や御伽噺と評価するのはさびしい。

昔、テレビで「一日一善」とあったが、この映画では少年が3人の人間に良い行いをすることを思いつく。それも、本人にとって難しく相手にとって救いとなる行いでないといけない。決して後戻りせず、先に進んでいく。それによって、少年は世界が変わる瞬間が見れると考える。それも、「クソみたいな世の中」でない、善意にあふれた世界に。信じることやあきらめないことの大事さを映画は伝えてくれていた。斜に構えて見れば、偽善であり、楽観的過ぎたり、夢見たいな御伽噺と思うかもしれないが、安易にそう評価するのはすごくさびしいことではないだろうか。今の世の中は、「何をしても報われない」、「世の中なんて変りっこない」といったしらけた思いが蔓延している。現実はそう甘くないのも確かだし、映画に出てくる麻薬中毒のジェリーの葛藤もそれを描いている。でも、だからこそ見るべき価値があるんじゃないのかと思う。

この映画には、それを感じさせるだけの力量を持った役者が出ていた。オスメント君のひたむきで一途な思い、あきらめない前に向いた姿勢は胸を打たれた。スペイシーが、無残な火傷の跡に秘められた心の傷を抱えていながら、思慮深く優しい男を演じていたし、ヘレン・ハントがアル中に悩みながら変わっていくところも良かった。魅力あふれる俳優達が素晴らしい作品に仕上げている。決してオスメント君に食われるような力量でなく、オスメント君を光らせることができたのはこの二人の凄さじゃないだろうか。

ラストも悲劇的ではあるが、最後に大きな救いが用意されていた。希望を最後に表現したことで、オスメント君の行いが意味あるものであったと感じられた。

色々、意見は分かれるかもしれないが、私はこういう前に向いた作品は高く評価したい。

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