映画化される小説は多々あるが、最近はネタ切れで古い作品のリメイクが多い。それ以外はアメコミや日本で流行った映画やアニメのリメイクが目立つ。
スピード・レーサーもそうだし、今度はドラゴンボールもハリウッドで実写化される。
そんな中、よく映画化される小説家がいる。ホラー小説作家のスティーブン・キングである。
「ショーシャンクの空に」が最も有名かも知れないが、この作品の原作は「刑務所のリタ・ヘイワース」という短編小説だ。原作の素晴らしさもあるだろうが、あそこまで面白い作品に仕上げたのは脚本家が優秀なんだろうなあ。
これ以外にも、「シャイニング」、「クージョ」、「ペット・セマタリー」、「炎の少女チャーリー」、「キャリー」、「ゴールデンボーイ」、「ミザリー」、「スタンド・バイ・ミー」、「ドリーム・キャッチャー」などなど数え切れない作品がある。最近なら「ミスト」もキングの原作だ。
「ショーシャンクの空に」と「スタンド・バイ・ミー」以外はホラーやファンタジー作品だ。作品に登場する場所は彼の故郷メーン州が多い。メーン州がどんなところか知らないが、彼の作品ばかり読んでいるとメーン州には、吸血鬼はいるし、異常者も多く、呪われた場所がたくさんあるように思ってしまう。
彼の描き出す世界はファンタジーであり、実在しないが、リアルで繊細な描写とテンポの良い展開で彼の作った世界に引き込まれてしまう。物語が展開を始めるきっかけは些細な出来事が多い。そこから恐怖が始まるのだが、主人公の心理が伝わってきて、いつの間にか主人公とシンクロして恐怖をリアルに体験する。だから、彼の作品は恐いのである。
たくさんの作品があるが、私が一番恐かったのは、「ペット・セマタリー」だ。
主人公は都会から田舎町に家族で引っ越してきた医者。息子はまだ可愛い盛りの3歳。その息子が、トレーラーに轢かれて命を落とし、死者を甦らせる禁断の地に息子を埋葬してしまう。しかし、禁断の地で甦った死者は、姿は生きていた時のままであっても何かが違う。
と、こんな感じだ。息子がトレーラーにはねられて死んだ時の主人公の心情や恐ろしい結果になることを分かりながら禁断の地に向かわせられる恐怖が伝わってきて本当にに恐い。禁断の地が持っている邪悪な力と恐ろしさを過去に起こった様々なエピソードを登場人物が語ることで恐怖が増していく。
息を吐かせないようにエピソードを畳み掛けてくることで、もはやその世界が実在しているような錯覚に陥る。
他に知らないだけかも知れないが、小説を読んで背筋に寒気が走ったのは、この作品が一番だ。キングの存在しない吸血鬼や恐怖をリアルな描写で引き込ませる力は本当に凄い能力だ。
ショーシャンクやスタンドバイミーのようなホラーでない作品においても着目されており、キングのレベルの高さを証明している。
ただ、キングの作品ははっきりいって映画より小説の方が面白い。2時間の尺に小説の面白さを凝縮させるのは中々難しいだろう。どちらかといえばテレビシリーズの方が向いているのかも知れない。
Nightmare & Dreamscapesという短編を映像化した8話の作品が3枚のDVDに収められ、TSUTAYAでもレンタルしている。それなりに面白い。特に第1話のバトルグラウンドが面白くておすすめだ。
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