2010年2月25日木曜日

メンフィス・ベル



メンフィス・ベル Memphis Bell (1990年・アメリカ)
監督:マイケル・ケイトン・ジョーンズ
製作:デイヴィッド・パトナム、キャサリン・ワイラー
脚本:モンテ・メリック
撮影:デイヴィッド・ワトキン
編集:ジム・クラーク
キャスト(役名):マシュー・モディン(Dennis)、エリック・ストルツ(Danny)、テイト・ドノヴァン(Luke)、D・B・スウィーニー(Phil)、ビリー・ゼーン(Val)、ショーン・アスティン(Rasal)、ハリー・コニック・ジュニア(Clay)、リード・エドワード・ダイヤモンド(Virge)、コートニー・ゲインズ(Eugene)、ニール・ガントリ(Jack)

第2次大戦を舞台にした戦争映画だ。戦争映画なのだが、少し赴きが違う映画だ。戦争に出撃する若者たちの不安や仲間との絆、当時戦争に行った若者たちの思いを綴った良い映画なのだ。戦争礼賛とは違うところが良いのだ。

あらすじは、こんな感じだ。1943年、イギリスにある米軍基地からナチス・ドイツに向けたB-17爆撃機による危険な白昼攻撃を続けていた。その爆撃機の中で24回の出撃で無事帰還していた10人の若者がいた。彼らの登場する爆撃機はメンフィス・ベル。最後の出撃となる25回目の出撃を迎え、これが無事終われば10人は英雄として故郷に帰れるのだ。しかし、最後の出撃で、敵の砲弾を浴び傷つきながら帰還をするのだが、・・・

撮影にはアメリカに現存するB-17が使用されたが、対戦中に作られた13,000機の内、飛行可能なのはわずか8機しか存在せず、そのうちの2機が使用された。B-17に攻撃を仕掛けるドイツのメッサー・シュミットも33,000機製造されたが、飛行可能な機体はわずか4機しかなく、3機が撮影に使われたそうだ。映画の最後にこういうテロップが流れる。
「25万以上の飛行機が西欧の上空で戦い、20万もの空の戦士が命を落とした。この映画は国籍を問わず、この歴史的な戦いに身を捧げたすべての勇敢な若者たちに贈る。」

映画の中では編隊を組んでドイツへ向かうB-17が敵機の攻撃にあって墜落したり、傷だらけになりながら帰還した機体が着陸後炎上したり、尊い若い命が失われるシーンも多く、B-17の飛んでいる姿がかっこいいというより、戦争の悲惨さが伝わってくる映画だ。映画の主題もそちらに重点を置いたつくりになっている。

この映画の素晴らしいのは、10人のクルー達のキャスティングだ。10人のリーダーは真面目な操縦士のデニス(マシュー・モディン)。無線士のダニー(エリック・ストルツ)は心優しい詩を愛する若者。旋回銃座のラスカル(ショーン・アスティン)はお調子者。機関士兼上部銃座のパージ(リード・エドワード・ダイヤモンド)は女性が苦手。後尾銃座は歌のうまいクールなクレイ(ハリー・コニック・ジュニア)。側面のジャック(ニール・ガントリ)とユージン(ユートニー・ゲインズ)の2人はいつもからかい合う喧嘩友達。爆撃手のバル(ビリー・ゼイン)は医者志望と経歴をごまかす気取り屋。運命論者のフィル(D・B・スウィーニー)が航空士。そして副操縦士は野心家のルーク(テイト・ドノヴァン)でデニスを煙たがっている。この個性ある若者たちが生き生きと演じているのだ。

戦争映画というより当時の若者を描いた青春映画という感じだ。良い映画なのでまだ見たことのない人はぜひ見てほしい。


0 件のコメント:

コメントを投稿