最近、「青春映画」という言葉を耳にしない。
野暮ったく聞こえるからか、それとも単純に青春映画と分類するのが難しいのか、あまり聞かなくなった言葉だ。
私が中学の頃には、この「青春映画」が全盛だった。テレビでも中村雅俊や森田健作が活躍していた頃だ。
多くの作品があったが、なかなかDVD化されなかったのがフレンズという映画だ。
思春期の頃に見た青春映画だ。青春映画という言葉も聞かなくなったが、昔見たような淡くてほろ苦い若者のラブストーリー自体が少なくなった。
小さな恋のメロディ、おもいでの夏とか、個人授業など心に残る良い映画がたくさんあった。この歳になって言うのも気恥ずかしいが、中学高校の頃に時めいたり憧れたものだ。フレンズもそんな青春映画の1つだ。
同世代の人なら私が懐かしいと思う気持ちを理解していただけると思う。
中でもこの映画が強く心に残っているのは主演のアニセー・アルビナの魅力につきる。ほっそりして可憐で笑顔がたまらなく可愛かった。黒く長い髪と何か不幸を感じさせるさみしげな表情がなんとも魅力的だった。
私が大好きだったフレンズがどんな映画なのか紹介したい。
フレンズ ポールとミシェル (Friends イギリス・1971年)
監督、製作、原作は、ルイス・ギルバート。主題歌や挿入歌を歌っていたのは、エルトン・ジョン。主人公のポールとミシェルには、ショーン・バリーとアニセー・アルヴィナ。
物語はこんな感じだ。結末まで書いているので、まだ観ていない人は注意してほしい。
イギリス製作の映画だが、舞台はフランス。ミシェルは、フランス南部の町アルルで父と暮らしていた14才の少女。アルルといえばゴッホが暮らしていたことでも知られている田舎町だ。幸せに暮らしていたが、父を失くし、いとこをたよってパリへ行くことになった。駅から人込みにまじりミシェルが現れる。FRIENDSのタイトルとともにエルトン・ジョンの曲が流れる。
ポールは、実業家の父を持つ裕福な家庭に暮らす15歳の少年である。裕福だが、父親とうまく通じ合わず、心は満たされていなかった。父が結婚しようとしている女性もその連れ子も気に入らない。
そんな二人が、動物園で出会った。初めて会った時から二人は通いあうものを感じた。
そんなある日、ポールは無断で父の車に乗り、ミシェルを乗せてドライブに出かけた。話に夢中になり、田舎道で車が池の中に突っ込んでしまった。それがきっかけとなり、二人はミシェルの故郷アルルに向かった。
アルルには、いまは誰も住んでいない、白い家が、ぽつんと一軒建っていた。アルルの自然の中で暮らし、離れられなくなる二人。水辺を駆ける白い馬の群れ、風になびく草原、沈む夕日に浮かぶ二人のシルエット。この叙情的な描写が、なんとも美しい。
しかし、二人は現実の厳しさに直面する。食べ物も尽き、ポールは食糧を得るために、働きに出るようになった。なかなか仕事を得られないポールは、それでも、なんとか二人の生活を支えようと、一生懸命に働いた。そんな生活が続き、空腹に嘆き、二人はつまらないケンカをしてしまう。家を飛び出したポールを追い掛けるミシェル。日が落ち、薄暗くなった水辺でポールの名を呼ぶミシェルの声を聞いたポールもミシェルの名を呼び走りだした。やがて二人は駆け寄り、しっかりと抱き合った。
時は経ち、ミシェルが妊娠していることがわかった。新しい家族に喜ぶ二人。二人は自分達で子供の出産を決意する。やがて陣痛が始まって苦しむミシェルに、ポールはとまどいながらも付き添い、元気な赤ん坊が生まれた。二人は、教会に出かけて、こっそり洗礼を受けた。
ポールとミシェルは幸せに包まれていた。
しかし、そんな時、ポールの父から出された捜索願いを受けた警察が、ようやく、ポールの居場所を捜しだしてしまった。
朝いつものように働きに出かけていくポール。赤ちゃんを抱き笑顔で見送るミシェル。
エンドロール。
なんとも切なくほろ苦いラストだろうか。その切なさゆえに心に残っているのだろう。
この映画のアニセー・アルビナが本当に可愛かった。
フレンズを見て、アニセー・アルビナのことが気になってインターネットで検索してみた。今は何してるのかなぁという興味から検索したのである。
すると、思いもしなかった情報が目にとまった。
アニセー・アルビナ(1954年1月28日生まれ)が、2006年11月10日に52歳の若さで癌のため死去。
この時は、ショッキングな情報を知り、余計にセンチメンタルな気分になった。中学の時に憧れたアニセー・アルビナが亡くなったとは寂しい限りだ。
フレンズ。素敵な作品である。
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