アラン・ドロンは、好きな俳優だ。太陽がいっぱい、さらば友よ、冒険者、生きる歓び、ボルサリーノ、黒いチューリップなど多くの映画に主演したフランスの俳優だ。いろんな作品に出演しているが、どちらかといえばクールな2枚目役が多く、悲しい結末が多い。陰りのある雰囲気がそうさせるのか、ハッピーエンドはあまりない。若い頃は、名匠ルキノ・ヴィスコンティにも起用され、山猫や若者のすべてに出演している。若者のすべては、ある青年の都会での生活を描いた作品だが、その主人公のロッコをアラン・ドロンが演じた。
若者のすべて
[原題]Rocco e i suoi Fratelli
[製作国]イタリア
[製作年]1960年
[配給]イタリフィルム
監督: Luchino Visconti ルキノ・ヴィスコンティ
製作: Goffredo Lombardo ゴッフレード・ロンバルド
原案: Luchino Visconti ルキノ・ヴィスコンティ
原案: Vasco Pratolini ヴァスコ・プラトリーニ
原案: Suso Cecchi D'Amico スーゾ・チェッキ・ダミーコ
脚色: Luchino Visconti ルキノ・ヴィスコンティ
脚色: Suso Cecchi D'Amico スーゾ・チェッキ・ダミーコ
脚色: Pasquale Festa Campanile パスクァーレ・フェスタ・カンパニーレ
脚色: Massimo Franciosa マッシモ・フランシオーサ
脚色: Enrico Medioli エンリコ・メディオーリ
撮影: Giuseppe Rotunno ジュゼッペ・ロトゥンノ
音楽: Nino Rota ニーノ・ロータ
美術: Mario Garbuglia マリオ・ガルブリア
編集: Mario Serandrei マリオ・セランドレイ
【出演】
Alain Delon アラン・ドロン
Renato Salvatori レナート・サルヴァトーリ
Annie Girardot アニー・ジラルド
Katina Paxinou カティーナ・パクシー
Roger Hanin ロジェ・アナン
Paolo Stoppa パオロ・ストッパ
Suzy Delair シュジ・ドレール
Claudia Cardinale クラウディア・カルディナーレ
Spiros Focas スピロス・フォカス
この作品は1960年度ヴェニス映画祭で審査員特別賞を受賞した。
1955年のある晩、ロッコ(アラン・ドロン)とその兄弟は、母親ロザリアとともにミラノ駅についた。父親を失った一家は故郷ルカニアから、ミラノで働いている長男ヴィンツェンツォを尋ねてきたのだ。ヴィンツェンツォには美しいジネッタ(クラウディア・カルディナーレ)という婚約者がいた。一家は翌日から家と職探しに奔走した。ヴィンツェンツォはプロ・ボクサーを志し、次男シモーネ(レナート・サルヴァトーリ)と三男ロッコもクラブに出入りするようになった。シモーネは貧困と不遇の青春のうっぷんをグローブに賭けた。これにボクサーくずれの男モリーニが目をつけ、たちまちシモーネを悪の世界にひきずりこんだ。その頃、シモーネは娼婦のナディア(アニー・ジラルド)という女に溺れていた。素質のあるロッコは気立てが優しく、ボクサーを嫌ってクリーニング店で働いていた。が、シモーネが店の主人のブローチを盗み、ロッコは疑いをかけられ、クリーニング店をやめさせられてしまう。ロッコに徴兵の通知が届く。1年2ヶ月の時が流れ、兵役を終え帰郷する途中、ロッコは刑務所を出所したナディアに会う。彼女はロッコに好意を寄せる。シモーネは堕落し
、ナディアの更生やロッコの噂を聞き、ロッコに嫉妬する。ある晩、橋の上でロッコとナディアを待伏せしたシモーネ一味が二人を襲う。仲間にロッコを押えさせ、シモーネはナディアを暴力で犯した。数日後、ナディアはロッコに求婚するのだが、ロッコは、堕落し荒れているシモーネを救えるのは彼女だけだとさとり、身をひく。ロッコの思いに反し、絶望したナディアはまた悪の世界に戻り、シモーネも借金のために告発された。ロッコは兄を助けるため、気のすすまぬボクサーの契約をする。ミラノに着て5年、シモーネ以外はそれぞれ幸福に暮らしていた。ヴィンツェンツォは二人目の子供が生まれ、四男のチーロはアルファ・ロメロに就職していた。ロッコの夢は生まれ故郷のルカニアに帰ることだった。ある日、ロッコがボクシングの試合で勝利し、一家で祝っている席上に、落ちぶれたシモーネが帰ってきた。シモーネはナディアを殺してきたのだ。ロッコだけは彼を暖く迎え、二人の兄弟は男泣きに泣き、いつまでも抱きあっていた。
何ともやる瀬ないお話だ。上映時間も177分とかなり長い映画だ。イタリアン・ネオリアリズモの傑作として、ある家族の変容、崩壊、希望と絶望を描いた作品だ。正直なところ、やり切れない思いのお話だが、いろんなことを考えさせられる映画だ。
私は若い頃にお尻の痛さと格闘しながら、この長く悲しい映画を観た。
決して楽しい気分になる映画じゃないけれど、今も心の中に残る映画だ。
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