2010年2月25日木曜日

ジャック・レモン


映画俳優の中で好きな俳優を10人選べ、と言われたら間違いなくジャック・レモンの名前をあげるだろう。ジャック・レモンは、ミスタア・ロバーツ、お熱いのがお好き、アパートの鍵貸します、酒とバラの日々、あなただけ今晩は、女房の殺し方教えます、グレート・レース、恋人よ帰れ!わが胸に、おかしな二人、おかしな夫婦、コッチおじさん、お熱い夜をあなたに、セイヴ・ザ・タイガー、フロント・ページ、チャイナ・シンドローム、ミッシング、晩秋、ラブリー・オールドメン、バガー・ヴァンスの伝説などの映画の数々に出演した。(コッチおじさんは監督)コメディからシリアスなものまで演じた名優だ。中でもビリー・ワイルダー監督と組んだお熱いのがお好きや、アパートの鍵貸します、あなただけ今晩はなどの作品や実生活でも親友だったウオルター・マッソーとの共演作のおかしな二人、フロント・ページは、彼の代表作だ。
マッソーが2000年に亡くなり、翌年の2001年にレモン、2002年にワイルダー監督が続いて亡くなっているのは偶然かも知れないが、今は3人で天国で映画の話でもしているだろう。


ジャック・レモン(Jack Lemmon)は、アメリカ・マサチューセッツ州で1925年2月8日に生まれた。本名はJohn Uhler Lemmon III。レモンは、8ヶ月の早産で、病院のエレヴェーターの中で生まれたそうだ。彼のお父さんは、元舞台俳優で幼い頃から演劇に携わっていた。大学は、なんとあの名門ハーヴァードで科学を専攻している。頭もかなり良い人なのだ。大学在学中も演劇に熱中し、第二次大戦では海軍少尉として従事し、除隊後ニューヨークに渡り、ラジオ・ドラマに出演。やがてTVへも出演するようになり50年前半には500ものラジオやTVに出演したという。53年にはブロードウェイにも進出し、コロムビアに認められて契約。翌年には映画デビューを飾る。55年にはミスタア・ロバーツでアカデミー助演賞を受賞。59年にビリー・ワイルダーと知り合って以降はお熱いのがお好き、アパートの鍵貸しますなどで名コンビぶりを発揮した。この成功で人生の悲哀を巧みに表現するコメディアンとしてその地位を確立した。その後、恋人よ帰れ!わが胸にでウォルター・マッソーと共演。マッソーともおかしな二人等で名コンビとして活躍した。73年にはセイヴ・ザ・タイガーで4度目にしてアカデミー主演賞を受賞。チャイナ・シンドロームやミッシングでのシリアスな演技も高い評価を得た。また88年にはアメリカ映画協会から生涯功労賞が贈られている。50年に結婚してクリスが生まれたが56年に離婚。その後62年にフェリシア・ファーと再婚して一女がいた。2001年6月27日、ガンによる合併症で惜しま
れつつこの世を去った。

ジャック・レモンは、なんといっても、ワイルダー監督の映画やマッソーとの共演作にみられる神経質で人が善く、何をするのも几帳面にしないと落ち着かない人物が、定番のキャラクターだ。悲哀のある善人を良い味で演じる。アパートの鍵貸しますでは、不本意ながら上司の頼みを断れず、自分のアパートの鍵を貸し、不倫相手のシャーリー・マクレーンに気持ちを寄せる小心だけど愛すべきサラリーマンを見事に演じた。また、あなただけ今晩はでは、ひょんなことから知り合った娼婦のシャーリー・マクレーンをヒモから助けたことから新しいヒモになった元警官を演じた。ヒモになってもマクレーンに娼婦の仕事をさせたくないから、こっそり早起きして市場に働きに行く心優しい男の健闘ぶりにレモンの最高の演技が光っていた。
彼がスクリーンに登場しているだけで映画が楽しくなる。そういう役者さんだ。

悲しいかな彼は亡くなってしまったが、彼が残した素晴らしい作品の数々は、これからも私達を幸せな気持ちにさせてくれるだろう。

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