この映画は、2004年のスウェーデンの映画だ。監督・脚本は、ケイ・ポラック。出演は、ミカエル・ニュクビスト、フリーダ・ハルグレン、ヘレン・ヒョホルム、レナート・ヤーケル、ニコラス・ファルクという面々。ハリウッド・スターじゃないので、馴染みのない名前ばかりだと思うが、皆さんチャーミングで素敵な役者さんだ。
私は、基本的に小難しい映画や理屈っぽい映画は見ない。中身が深いのは良いが、やたら難解で作り手の独りよがりで作られた映画は見ない。その面からみると、この映画はシンプルなストーリーで、分かりやすくハートのこもった良い映画だ。
歓びを歌にのせて (2004年・スウェーデン)
Så som i himmelen/As It Is in Heaven
製作:アンダース・ビルケラン、ヨーラン・リンストロム
監督、脚本:ケイ・ポラック
撮影:ハラルト・グンナール・ポールガール
美術:モナ・テレシア・フォーセイン
音楽:ステファン・ニルソン
衣装:ヘルヴィ・アンデア
出演:ミカエル・ニュクビスト、フリーダ・ハルグレン、ヘレン・ヒョホルム、レナート・ヤーケル、ニコラス・ファルク、インゲラ・オールソン
◆ストーリー
世界を舞台に活躍する著名なオーケストラ指揮者ダニエル。彼は過酷な公演スケジュールとプレッシャーの中、病に倒れ、第一線を退くことになる。ぼろぼろの心臓と深い孤独を抱えて、彼は生まれ故郷の小さな村に戻った。音楽にはもう関わらないと決めていたダニエルだったが、ある日、地元の聖歌隊の指揮を依頼される。離村の小さな聖歌隊。全く素人のメンバーたち。しかし、心から音楽を愛する彼らの心に触れ、ダニエルは音楽の素晴らしさを思い出していく。不器用で、それぞれの人生に様々な問題を抱えていた村の聖歌隊メンバーも、ダニエルと過ごす日々の中、また変わろうとしていた。夢が壊れても、傷ついても、人生の次の一歩を踏み出す。そのための勇気を、いつの間にか、彼らは取り戻していった。夢に見たコーラスコンクールの日、ひとりひとりの気持ちがつながって、ダニエルは人生で最高の幸福感を得る。そして…。
映画では、アル中の亭主の暴力で心身とも傷ついた女性ガブリエラが、歌うことで自分が生きている歓びを感じ、救われる。このガブリエラ役をスウェーデンの歌姫ヘレン・ヒョホルムが演じている。彼女が歌うガブリエラ・ソングが感動的で素晴らしい。歌唱力はもちろんだが、心に響く魂のこもった歌声がなんとも素晴らしいのだ。
ダニエルが、傷ついたガブリエラのために書いた曲をガブリエラが熱唱する場面はジーンと熱いものがこみ上げてきた。ガブリエラ役のヘレン・ヒョホルムは歌手としても成功を収めたスウェーデンの歌姫だから、その見事な歌唱力もさることながら曲がめちゃめちゃ素晴らしい。この曲を作ったステファン・ニルソンは作曲家でありピアニストの人物だ。
Gabriellas Sång
Text Py Bäckman – Musik Stefan Nilsson
Det är nu som livet är mitt
Jag har fått en stund här på jorden
Och min längtan har fört mig hit
Det jag saknat och det jag fått
♪私の人生は 今こそ私のもの
この世に生きるのは つかの間だけど
希望にすがって ここまで歩んできた
私に欠けてたもの そして得たもの
Det är ändå vägen jag valt
Min förtröstan långt bortom orden
Som har visat en liten bit
Av den himmel jag aldrig nått
♪それが私の選んだ生きる道
言葉を超えたものを信じつづけて
天国は見つからなかったけど ほんの少しだけそれを垣間見た
Jag vill känna att jag lever
all den tid jag har
Ska jag leva som jag vill
Jag vill känna att jag lever
veta att jag räcker till
♪生きてる歓びを 心から感じたい
私に残されたこれからの日々・・・
自分の思うままに生きていこう
生きてる歓びを心から感じたい
私はそれに値すると誇れる人間だから
Jag har aldrig glömt vem jag var
Jag har bara låtit det sova
Kanske jag hade jag inget val
Bara viljan att finnas kvar
♪自分を見失ったことはない
今までそれは 胸の奥で眠ってた
チャンスに恵まれない人生だったけど
生きたいという意志が私を支えてくれた
Jag vill leva lycklig
för att jag är jag
Kunna vara stark och fri
Se hur natten går mot dag
Jag är här och mitt liv är bara mitt
♪今の私が望むのは日々の幸せ
本当の自分に立ち戻って
何にも負けず強くそして自由に
夜の暗闇から光が生まれるように
そう私の人生は私のもの!
Och den himmel jag trodde fanns
Ska jag hitta där nånstans
♪探し求めていたまぼろしの天国
それは近くにある どこか近くに
Jag vill känna att jag levt mitt liv
♪私はこう感じたい
”私は自分の人生を生きた!”と
生きていれば心は傷つくこともある。人それぞれ悩みや問題を抱えているものだ。大きさも内容も異なるが、そのことで本来の自分を見失ってしまう。映画では自分の♪音を探すことで、自分の存在意義を確認し生きる歓びや誇りを取り戻していく姿が描かれている。それも重苦しくなく、淡々と伝わってくるのだ。
とにかく、登場する聖歌隊の人達がみんなチャーミングだ。心を傷つかせながらも自分の存在を感じ、それを見つけるためにダニエルとともに歌を歌う姿が感動的だ。
レナ役のフリーダ・ハルグレンも、とても魅力的でキュートな女性だ。ダニエルの自転車の練習を一緒に手伝う姿や、知恵遅れのトーレを優しくかばう姿は本当に素敵なのだ。
結末は言えないが、大きな感動が最後に用意されている。
本当に良い映画だなと思う作品だった。
まだ見ていない人は本当にお勧めなので、是非是非、観てほしい。
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