良い映画、好きな映画はたくさんあるけれど、本当に好きな映画は何度も観たくなる映画である。
コメディー、ホラー、ラブロマンス、アクション、SF、などなどジャンルや時代には関係ない。B級・C級も関係ないし、制作費が安くて、有名なスターが出ていなくとも、良い映画は何度観ても良いのだ。
私の場合、こんな映画が大好きで、皆さんにもおすすめできる。
◆おしゃれ泥棒
今もなおまだ愛され続け、DVDだけでなく、写真集などの出版物も発行されている映画界の妖精オードリー・ヘップバーンの作品だ。
ヘップバーンといえば、マイ・フェア・レディやローマの休日、シャレード、暗くなるまで待ってなど数多くの人気作品がある。どの映画も素敵で良い映画ばかりだが、私は、このおしゃれ泥棒が大好きだ。
1966年に公開されたから、もう40年以上前の作品だ。監督はローマの休日やベン・ハー、大いなる西部などでメガフォンを執った巨匠ウィリアム・ワイラーである。ワイラーは巨額を投じたベン・ハーの様な超大作も撮れば、ローマの休日の休日やおしゃれ泥棒の様なチャーミングな映画も撮れるすごい映画監督だ。
すごい監督は、大作よりもこういう軽いタッチの娯楽作品を撮った時にそのすごさを実感する。まさにオールマイティーである。
主演は、もちろんオードリー・ヘップバーン。表向きは美術品収集家のシャルル・ボネの一人娘。シャルル・ボネ役は怪優ヒュー・グリフィス。四角い顔にぎろっと見開いた目。如何にもくせ者ぽさがぷんぷん漂う。この親父の本業は美術品の贋作制作。ザザビーなど有名なオークションに行方不明となっていた作品を所蔵していた物として出品しては儲けていた。娘のオードリーは、常々からこの親父の所業を心配していたが、自分の作った贋作に大きな自信を持つ親父は娘の言葉を聞く気もない。
そんな時、パリの美術館にボネが所有するチェリー二のビーナスを貸し出すことになる。このビーナス像ももちろん贋作だが、過信するボネは深く考えることもなく勢いで快諾してしまう。贋作と知っているのは娘のオードリーただ一人。娘は気がきでないのに、そんな事は気にすることもない。
しかし、娘の心配が現実の物になってしまう。美術館では、大事なビーナス像を預かるため、万が一の事に備えて、この像に保険を掛ける事を決めた。保険に掛けるためには、この像の詳細な鑑定が必要で、鑑定されれば、贋作という事がばれるのは明白。有頂天になっていたボネは、一気に奈落の底に叩き落とされてしまったのだ。
娘のオードリーは父親の落ち込みぶりを見て心を痛めていた。そんなある晩、リビングで何やら美術品を物色する泥棒と鉢合わせする。この泥棒、泥棒の割には物腰も柔らかで、タキシードを着た紳士風の人物。とても泥棒に見えないこの紳士、実はボネの所蔵品に興味のある収集家の依頼で調査をする美術品の鑑定士だったのだ。
この紳士は、アラビアのロレンスのピーター・オトゥール。青い目にすらっとした長身の優男。とぼけたところもあって、映画にぴったりの洒落た軽快な雰囲気が実に良い感じだ。
そんなやり取りがあって、オードリーは贋作が鑑定されるまでに美術館から盗み出そうと考え、間抜けな泥棒のオトゥールに相談を持ちかける。成り行きで泥棒に協力することになるのだが、果して結果や如何に。
と、こんな感じのテンポ良いコミカルな作品である。
アメリカ人の収集家にはイーライ・ウォラック、美術館の館長にはシャルル・ボワイエと素敵な俳優が脇を固めていて、気楽に楽しめる作品だ。
この喜楽さがすごく良くって、ビーナス像を盗み出すところも結構アイデアに富んでいて飽きさせない。時間があっという間に過ぎて行く。
タイトルどおり、ヘップバーンが映画の冒頭に登場するシーンがかっこ良い。真っ白のヘルメットに大きな白いサングラス。白いスーツを着たヘップバーンが真っ赤なアウトビアンキのカブリオレに乗って現れる。衣装は多分ジバンシーだと思うが、かっこ良いのである。
あの真っ赤なアウトビアンキのカブリオレ良いなあ。
日本語吹き替え版は、池田昌子さんのお声が聞けてこれまた嬉しくなる。ヘップバーンといえば池田昌子さんが定番というか王道だ。
とっても楽しいおすすめの映画なのだ。
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