雨が降るとすぐに思い出すのが、シェルブールの雨傘だ。古いフランス映画で、監督はロシュフールの恋人たちを撮ったジャック・ドゥミー。彼は、だいぶ後になるが、あのベル薔薇も撮っている監督だ。ヒロインはカトリーヌ・ドヌーブ。当時の美人の代名詞は彼女だった。映画の冒頭、雨にくすんだ石畳に赤や黄色の傘の花が開き、主題歌が流れる。モノトーンの街に鮮やかな傘が開くシーンを真上から映していた映像は見事だ。
ドヌーブは、小さな傘屋の一人娘。彼女は工員の青年と恋人どうし。二人は、彼が徴兵されて、行き違いから結ばれることのない運命。悲恋物のお話だ。映画は全編に渡ってセリフがすべて歌になっている。オペラのようだが、曲調はどちらかと言えばシャンソンだ。
徴兵で旅立つ日、シェルブール駅で歌われるシーンが良い。とてもロマンチックな映画だ。
カトリーヌ・ドヌーブが若い時の作品でメチャメチャ綺麗だ。リスボン特急や昼顔など多くの作品に出演しているが、ブロンドヘアでいつも涼しげな表情の近寄りがたい美しさは、他にない美しさだ。元祖クールビューティと言ってもいいかもしれない。
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