2010年2月25日木曜日

赤い風船



アルベール・ラモリス監督の「白い馬」と「赤い風船」が昨年2本立てで上映された。
なかなかDVDにならず、DVD化が待ち遠しかったがDVDも発売された。
2本まとめてのDVD化である。
特に私は、赤い風船が大好きだ。

思えば、初めて良い映画に出会ったのは小学生の頃だ。3年生ぐらいだったと思うが、学校の講堂で観たこの「赤い風船」という短編映画だ。30分ちょっとの短い映画だが、美しくかわいい映画だった。この映画は、フランス映画でアルベール・ラモリスという監督が撮った作品だ。主演の男の子は、パスカル・ラモリスで監督の息子さんだ。

赤い風船は1956年の作品で35分、白い馬は1953年の作品で40分とどちらも短編のずいぶん昔の作品だ。
でもその映像の美しさは50年経った今でも色褪せることはない。見たことのない人には是非見て欲しいすばらしい作品だ。白い馬はモノクロ、赤い風船はカラーの作品である。赤い風船は、フランスはパリの街が物語の舞台になっている。モノトーンの町並みを少年と赤い風船が歩いていく映像が本当に美しい。

一言でいうと絵本のような映画なのだ。ストーリーも絵本のようにシンプルだ。
ある日少年が学校に行く途中、街灯に引っかかった赤い風船を見つける。少年が街灯から風船を外してあげると、赤い風船は少年の後を子犬のようについて回るのだ。
学校に風船をつれてきたことが、気に食わない意地悪な校長先生に、罰として部屋に閉じ込められてしまう。赤い風船は少年のために校長先生の後を追い掛け回し、とうとう根負けして少年は部屋から出してもらえる。そのときに少年が見せる不安げな表情が、また良いのだ。
蚤の市で鏡に映った自分の姿を見つめる風船。女の子の青い風船について行ってしまう赤い風船。
少年と赤い風船がパリの町並みを歩く姿がユーモラスに描かれていく。
お話の結末は伏せておくが、ラストにパリの町中から集まってくる色とりどりの風船の映像がこれまた美しい。パリの暗い色彩の町並みに花が咲いたような鮮やかさは絵画を見ているような感じだ。

子供らしい良い表情のこの少年は、実は監督の息子さんでパスカル・ラモリス。白い馬や素晴らしい風船旅行にも出演している。
カンヌでも短編映画のグランプリを受賞した素敵な作品だ。
本当に素敵な映画なので是非是非見て欲しい。


0 件のコメント:

コメントを投稿