2010年2月25日木曜日

ジョーイ



1973年に全米大学フットボール最優秀選手に贈られるハイズマン・トロフィーを受賞したジョン・キャパレッティと彼の弟ジョーイや家族との絆を描いた感動作だ。

ジョーイ(Something for Joey/アメリカ・1977年)
監督:ルー・アントニオ
製作:ジェリー・マクニーリー
脚本:ジェリー・マクニーリー
撮影:ゲイン・レシャー
音楽:デイヴィッド・シャイア
編集:ゲイリー・グリッファン
キャスト:ジェフリー・ライナス、マーク・シンガー、ジェラルディン・ペイジ、ジェラルド・S・オルーリン、キャスリーン・ベラー、ブライアン・ファレル、スティーヴ・グッテンバーグ

ペンシルバニア州のアパー・ダービィに暮らすキャパレッティ一家は、アンとジョンSr.夫妻とマーティ、ジョン、マイク、ジーンとジョーイの男4人と女1人5人兄弟。長男のマーティはジョイスと結婚して独り立ちしていた。ジョンは州立大のフットボール選手であり、将来有望な花形ランニング・バック。

幸せに暮らしていたキャパレッティ一家に不幸が訪れる。弟のジョーイが、白血病で余命数ヶ月と宣告されてしまう。突然の高熱で意識不明に陥るジョーイ。キャパレッティ一家の愛情と献身的な看護で奇跡的に意識を取り戻す。ジョンは、ジョーイの憧れであり誇りでもある存在。ジョンも弟が病気と闘う姿を見て、弟が元気になることに希望をかけて、アメリカン・フットボールで活躍する。

ジョンの試合にも行けるようになったジョーイは、ジョンに誕生日のプレゼントを頼む。それは、1試合で4つのタッチダウンを決めること。それも全てジョンに決めてほしいと頼まれてしまう。ジョンは、弟のため本当に4つのタッチダウンを達成する。ジョンの勢いは、誰にも止められない。その後も活躍し、ついに1973年のハイズマン・トロフィーを受賞することが決定される。

キャパレッティ一家は、授賞式に招待されジョーイも一緒に家族全員で授賞式に出席することとなった。授賞式でジョンは、両親や家族の愛情に感謝の気持ちを述べて、最後に弟のジョーイを紹介する。彼が白血病であること、自分はフットボールをしている時だけ闘っているが、弟はずっと闘い続けていること、自分は弟から闘うことを学んだことを涙に目を潤ませスピーチするジョン。

司教の祝福の言葉を受け、ジョンとジョーイを誇りに思い、抱き合い涙を浮かべるアンとジョンSr.。ジョーイに駆け寄り、抱きしめるジョンの姿がそこにあった。

これは、実話である。元は、テレビ用に作られたドラマであったが、内容が素晴らしかったことから、劇場用の映画に再編集され日本でも公開された映画である。ジョン・キャパレッティは、プロでもNFLのラムズで5年間プレイをした選手だ。ジョーイは、この授賞式の3年後にジョンに看取られて天国に召されるのだが、家族の愛情に囲まれ発病から10年間もの期間を生き抜いた。

ジョンがジョーイのため、約束どおり試合で4つのタッチダウンを成功させる。ハイズマン・トロフィの授賞式でジョンがジョーイを誇らしげに紹介するシーンでは心の底から熱いものがこみ上げてきた。ジョーイは兄のジョンに励まされ病気と戦い、ジョンは弟のジョーイが病気と闘う姿を見てフットボールに打ち込む。この兄弟の深い絆を見て、感動せずにはいられない。この手の映画は泣かせる為の過剰な演出が多いが、この作品は少し違う。もちろん、涙ウルウルになるが、根底にあるのは兄弟の絆であり病気の悲惨さじゃない。生き抜くことの大切さを伝えている。映画でもジョーイが息を引き取るシーンは映されていない。兄と弟の深い愛情で結ばれた絆を描いた傑作。心の底から熱くなった。
残念ながら、この作品はDVDも製作されていないし、ビデオもかなり前に廃盤になっている。お勧めしたいが、見てもらう術がないのが残念だ。


0 件のコメント:

コメントを投稿