2010年3月5日金曜日
招かれざる客
黒人医師ジョン(シドニー・ポワチエ)は世界を舞台に活躍する青年医師。
そんな彼が新聞社社長の娘ジョーイ(キャサリン・ホートン)と恋をし、結婚を決意する。
そのことを報告するためふたりはジョーイの両親に会いにやってくる。
母親(キャサリン・ヘプバーン)は驚きながらも幸せそうな娘を見て祝福しようと決意するのだが、父親(スペンサー・トレイシー)は戸惑いを隠せない。
娘に黒人差別の愚かしさを教え、その教えどおりに育ったことと、娘の行く末を案じる父親の気持ちと相反する矛盾に悩む父マット。
ジョンがそんな父親の気持ちまで察する好青年だから一層悩みが深まる。
やがてジョンの両親も揃い、マットは決断する・・・。
父を演ずるスペンサー・トレイシーは本作品が遺作となった。
普段、差別は愚かしいといっている人間が、いざ自分の娘の結婚となると、いかに建前だけであったことが良くわかる。
頭の中では分かっていても、いざ自分の娘のことになると、がらがらと音を立てて信念が崩れていく。
ポワチエの父親も逆の立場で、また思い悩む。
現実はこういうことがあったんだろうなあと思わせる映画だ。
この映画の良い所は、二人の結婚を認め、まずは話し合うことから始めましょう、と夕食をとるシーンで終わるところだ。
スペンサー・トレイシーとキャサリン・ヘップバーンが夫婦役だったが、実生活でも切っても切れないパートナーであった。
スペンサー・トレイシーは、結婚していたがカソリックであったため、離婚はしなかった。
トレイシーは心臓を患っていて、晩年は妻のルイーズとキャサリンで看護をしていた。
しかし、この映画の撮影の17日後、トレイシーはこの世を去った。
彼の死後、キャサリン・ヘップバーンは、スペンサーのことを、アメリカでの理想の男性と語ったそうだ。
彼の最後の映画も、彼を看取ったのも彼女だった。
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