2010年3月21日日曜日

吹き替え


映画を観るのは、もっぱらDVDである。
昔は映画館に足を運んだが、最近はわざわざ行ってまで観たいと思う映画も少ないから、DVDで満足している。
DVDには、吹き替えのある物が多く、昔の映画でもテレビ放送した当時の音源を収録したりしているものもある。
オードリー・ヘップバーンのXX記念とかの企画製品なんかは、池田昌子さんの新録版を作る場合もある。

オリジナルが一番という人もいるが、私はどちらかというと吹き替え版が好みである。
もちろん、吹き替えも単に日本語になっているだけではなく、それなりのクオリティが必要だ。
クオリティは、吹き替えされる方のレベルが高いことが前提だが、それに加えて声優さんと出演者のマッチングが大事な要素である。
素晴らしい声優さんでも合う合わないがあるので、この役者さんには、この声優さんと相応しい人があてないと違和感が出てしまう。
ちびまる子ちゃんの友蔵さんでお馴染みの青野武さんは洋画の吹き替えでも有名なベテラン声優だが、青野武さんがアラン・ドロンの吹き替えをしても違和感があるだろう。
やはり、アラン・ドロンなら野沢那智さんでなければ、しっくりこない。
グレゴリー・ペックなら城達也さん、クリント・イーストウッドなら山田康雄さん、シュワちゃんは玄田哲生さんと定番の人が吹き替えされるのがベストだ。
ただし、今挙げた方達でも玄田哲生さん以外は故人であり、城達也さんのビロードの声を聞きたくても残された音源以外では聞くことは出来ない。
城達也さんのジェットストリームは、聞きたくても、もう聞くことは出来ない。
山田康雄さんが亡くなり、急遽 ものまねの栗田貫一さんが代役に起用された。
栗田されは、かなり苦労されたと思うが本人ではないのだから、どうしても語り口も違うし、声質の違いは真似しようがない。
ドラえもんの声優さんが総入れ替えになったのは、昔からのファンにとっては寂しいかもしれないが、いたし方ないことだろう。
サザエさんも同じだが、定着したイメージを変えるのは、至難のことである。

洋画の世界では、今名前を挙げた青野武さん、山田康雄さん、城達也さん、玄田哲生さん、野沢那智さん、池田昌子さん以外にも外せない人が大勢いる。
思いつく人をざっと挙げてみよう。

・広川太一郎さん
「〜したりなんたりして」とか、独特の台詞回しで、つまらない映画まで面白くする天才。
トニー・カーチスやロジャー・ムーアが定番だが、二枚目でも三枚目でもこなすオールマイティな声優さん。
・納屋悟朗さん
銭形警部が有名だが、映画ならなんと言ってもチャールトン・ヘストンだろう。
重厚で男らしい声がぴったりだ。
モンティ・パイソンのジョン・クリーズのようなコミカルなキャラクターもこなすところが、またすごい。
・青野武さん
友蔵さんをはじめとするコミカルなキャラクターは、見事である。
ぶっ飛んだ役ならピカイチだ。
ぶっ飛んでるという俳優では、ジョー・ペシが定番だ。
『ベイビーズデイアウト/赤ちゃんのおでかけ』の ジョー・マンテーニャ、ジョー・パントリアーノ、ブライアン・ヘンリーの悪党三人組のスキンヘッドのパントリアーノは、最高に上手い。
面白い映画だが、青野武さんの吹き替えでかなり笑わせてもらった。
・大塚周夫さん
なんと言ってもチャールズ・ブロンソンだ。
あおの顔にはこの声しかないだろう。
男臭さあふれるブロンソンにはこの声がぴったり。
でも、ゲゲゲの鬼太郎のネズミ男なんかもできるんだよな。
坂口芳貞さん
この人以外にモーガン・フリーマンの声は無理だろう。
人生の酸いも甘いも分かった渋い良い声だ。
・平田広明さん
今、一番人気のあるジョニー・デップというかジャック・スパロー船長はこの人だ。
・武藤礼子さん
エリザベス・テイラーの声に代表される品のある美しい声だ。
この方も最近お亡くなりになられた。
寂しい限りだ。
・樋浦勉さん
ブルース・ウイリスといえば、テレビでは野沢那智さんが定番だが、DVDはこの樋浦勉さんが定番だ。
疲れた中年オヤジの声といえばこの人だ。
・小原乃梨子さん
マンガじゃのび太君や未来少年コナンを吹替えている。
ドロンジョ様もこの人だ。
映画では、ブリジット・バルドーやナタリー・ドロン、ジェーン・フォンダなどセクシーな人を吹替えている。
・江原正士さん
トム・ハンクスやロビン・ウィリアムスなど芸達者な人達を軽快に吹替えている。
ロビン・ウィリアムスのあのテンションを吹替えられる人はそうはいないだろう。
まさに名人である。
・池田昌子さん
オードリー・ヘップバーンだ。
あの美しく可愛い声は、この人以外にはできない。
少し前に池田昌子さんがセリフを言うCMがあったが、オードリー・ヘップバーンの映像がなくても、ヘップバーンなのだ。
・小林昭二さん
仮面ライダーのおやっさん。
ウルトラマンのムラマツ隊長だ。
この人のジョン・ウェインは、迫力があって渋くて、味がある。
納屋吾郎さんも吹替えられるが、やっぱり小林さんの方が馴染みがあるな。
・小林修さん
スキン・ヘッドのユル・ブリンナーだ。
冷静で落ち着いた艶のある良い声だ。
この人が言うことは聞かないといけないような声なのだ。
・菅生隆之さん
トミー・リー・ジョーンズの声を小林清志さんと半分ずつ分け合っているかな。
男らしい良い声だ。
BOSSの宇宙人ジョーンズは、菅生さんの声だ。
・田中信夫さん
黒人声といえばこの人。
その中でもシドニー・ポワチエは田中さんの定番だ。
・中村正さん
「奥様は魔女だったのです。」の名ナレーションはこの人。
紳士なら中村さん。
デビッド・ニーブン、フレッド・アステアなど、上品な人にぴったりあった品のある声だ。

まだまだ、あるが切がないので、いったんここまでにしておきたい。
ちなみに、とりみきさんの『吹替映画大辞典』は吹替えファンにはおすすめの一冊だ。



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