2010年3月14日日曜日

夜の大捜査線


アメリカ南部ミシシッピの田舎町スパルタ。
この町では、黒人差別が未だ色濃く残っていた。
そんな町で、実業家が殺人される事件が起きた。
警察署長のビル・ギレスピー(ロッド・スタイガー)は、早速捜査を開始した。
部下のサム(ウォーレン・オーツ)は、駅にいた黒人を犯人と決めつけ逮捕した。
しかし、その黒人は休暇で帰郷していたフィラデルフィアの敏腕刑事バージル・ティッブス(シドニー・ポワチエ)であった。
殺人事件を始めて扱うビルは、ティッブスに協力を要請したいのだが、黒人に頭を下げることが出来なかった。
しかし、殺人犯と見込んで捕まえた少年の無実をティッブスが見事に解き明かしたことで、ティッブスに協力を願うこととなった。
白人の署長と黒人刑事の二人で捜査を進めるのだが、町民も黒人の取調べに反発し、命までも危険にさらされてしまった。
衝突し合いながら捜査を進めていたが、命の危険を感じギレスビーはティッブスに捜査の打ち切りを申し入れる。
しかし、ティッブスは真犯人をつきとめるべく、捜査を続けた。

ノーマン・ジュイソン監督。
公開当時は、公民権運動が盛り上がりを見せていた頃である。
公開の翌年には、キング牧師が暗殺されている。
原題は、In the Heat Of The Night
夜の大捜査線は、水野晴郎さんの付けた邦題だそうだ。
大捜査線とはいうものの、白人の署長と黒人刑事の二人が捜査を進めていく地道な内容だ。
偏見の残る町で、南部の白人のステレオタイプのような署長とティッブスの関係が微妙に変化していくところが面白い。
ロッド・スタイガーは、監督のアイデアでガムを常に噛むように頼まれ、撮影中に263パックものガムを噛んだそうだ。
アクションではなく、じっくり見せる人間ドラマである。
映画のラストに署長が、ティッブスの荷物を運んでやるところに彼の感謝が表れている。
この作品は、アカデミー作品賞を受賞し、主演男優賞もロッド・スタイガーが受賞した。
この後、ティッブスを主役に『続・夜の大捜査線』、『夜の大捜査線 霧のストレンジャー』が作られている。

   

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