映画を観る楽しみは様々だ。
手に汗握るアクションを観て、ハラハラする。
親子や家族の絆の尊い姿を観て、感涙する。
背筋も凍りつくホラーを観て、ドキドキする。
いろんな障害に立ち向かうラブロマンスを観て、ポーっと憧れる。
などなど、映画の内容によって楽しみ方は様々だ。
たまには、映画を観て、すかっとしたいという時もあるだろう。
今まで観た映画の中で、こりゃすかっとしたという映画を挙げてみた。
セントオブウーマン 夢の香り
盲目の元軍人のフランク・スレード中佐(アル・パチーノ)は、過去に起こした自分の過ちを悔いながら余生を暮らす、偏屈な人物。
彼の目は、過去の過ちで光を失ったのであった。
中佐は、姪の家族と暮らしていた。
家族が旅行する間の世話役として学生のチャーリー(クリス・オドネル)がバイトで雇われる。
しかし、余りにも偏屈な人物なので、辞退しようとするが、彼の姪に懇願され、渋々引き受けることとなる。
家族が家を出たとたん、中佐は身支度を始め出した。
中佐は家族が出払った後、ニューヨークに出掛けると言い出し、チャーリーは困惑してしまうが、強引な中佐に同行することになる。
チャーリーは、学長に対する同級生のいたずらを目撃し、月曜の全校集会までに証言しなければ、学校を退学させられることを悩んでいた。
彼は他の学生のように裕福な家庭で育ったわけではなく、奨学金で勉強に励む苦学生であった。
中佐はニューヨークに着くと、思いのままに行動した。
カフェラウンジで知りあった女性と盲目とは思えない華麗なステップでタンゴを踊ったり、フェラーリにチャーリーを乗せて試乗したりと、羽目を外すのだが、何か悲しげだった。
ニューヨークの近くに住む兄の家を尋ねるが、中佐とは距離をおき、気まずい雰囲気になってしまう。
中佐の本当の目的は、ニューヨークで死ぬことだった。
そのことを知り、チャーリーは必死に中佐に思い止まるよう説得する。
頑なだった中佐もチャーリーと話していく内に死ぬことを止めるのであった。
ニューヨークを後にし、家に戻るのだが、チャーリーには全校集会が待ち受けていた。
チャーリーは、全校集会でいたずらの犯人を何度も問いただされるが、頑なによく見えなかったと証言した。
一方、同級生は父親を同伴し、学長の脅しに対し、簡単にいたずらした仲間の名前を明した。
仲間の名前を明した生徒はお咎めなし、頑なに同級生の名前を明かさなかったチャーリーは退学させられることになろうとしていた。
その時、1人の男性が講堂に現れる。
ニューヨークへ共に旅した中佐であった。
ここからが映画の中で最もすかっとする場面だ。
中佐は、チャーリーを弁護するために現れたのであった。
チャーリーは自分の身を守るために仲間を売る密告者ではなく、高潔な精神を持った若者であることを朗々と語った。
かたや親に付き添われ仲間を売る卑怯者には何の咎めなく、チャーリーは退学させられる窮地に立たされている事が正しい行いなのかと訴え掛けた。
この中佐の演説が圧巻だった。
途中で、学長に演説を遮られそうになっても、中佐の迫力ある演説を誰も止めることは出来なかった。
ついには、講堂を埋める学生達から拍手が起こるのであった。
画して、チャーリーは学生生活を続けることになった。
中佐は、チャーリーと別れ自宅に戻った。
そこには、姪の娘と遊ぶ中佐の姿があった。
中佐が女性とタンゴを華麗に躍るシーンが本当に素晴らしかった。
パチーノはもちろん盲目ではないが、盲目の中佐として華麗に躍るシーンを観ていると、本当に目の見えない男性が踊っていると思ってしまう見事な演技だった。
彼は演技のため、盲学校に協力してもらったそうだ。
そこで、何にも焦点を合わせない視線を覚え、演技に役立てた。
演技というより、そのシーンにはパチーノは存在せず、盲目の中佐の姿しかなかった。
もう1つは、最後の演説のシーンだ。
観ていると私達の言って欲しいことを朗々と迫力を持って語り掛けてくれた。
良いぞー!中佐もっと言ってくれ!って感じだ。
胸がすくとは、こういうのをいうんだろう。
すかっとする映画である。
感動的なラストなどパチーノの熱演が伝わってくる。
この映画で彼は主演賞を受賞した。
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