2010年4月20日火曜日

ジャッカルの日



英国の社会派サスペンス作家フレデリック・フォーサイス原作のサスペンス映画。
ベストセラー作家であるフォーサイスは、英国生まれで、空軍からロイターの特派員やBBCの記者を経て作家になり、この『ジャッカルの日』で一躍ベストセラー作家になった人物である。
本作の後、『オデッサ・ファイル』や『戦争の犬たち』などの作品を執筆し、いずれもベストセラーとなり、映画化された。
特に『戦争の犬たち』は、フォーサイス自身が傭兵を雇い、赤道ギニアのクーデターを画策したと思われる事件が起こり、その時の事をベースに作られた作品と言われている。
本作は、アルジェリア独立に反対するフランスの極右テロ組織OSAが、アルジェリアからの撤退を決めたド・ゴール大統領の暗殺を画策し、OSAが雇ったジャッカルと呼ばれる英国人暗殺者と、それを阻止しようとするルベル警視との知的な対決を描いたサスペンスである。
『ジャッカルの日』は、フィクションであるが、背景や事件は事実に基づいており、リアルな暗殺劇に仕上がっている。
監督は、『真昼の決闘』、『地上より永遠に』、『わが命つきるとも』、『ジュリア』などで知られるフレッド・ジンネマン。
ジンネマンは、この作品を緻密に描写し、原作の面白さを損なわないスリリングなサスペンスに仕上げている。

映画では、暗殺者ジャッカルを英国人俳優エドワード・フォックスが演じている。
金髪で痩身、冷徹な顔立ちのフォックスは、ジャッカルのイメージにピッタリのキャスティングである。
OSAから依頼を受け、イタリアから南フランスのルートで潜入するのだが、潜入までの映像が面白く、リアルさを増す内容となっている。
分解して細いパイプに隠せる特殊なライフルの作成を依頼し、完成した銃を試射するシーンは、有名だ。
偽造パスポートや銃を隠して運ぶためのアルファ・ロメオなど、緻密且つ冷静に準備を進めていく。
フランス潜入後に想定外の事態に遭遇しても、途中に知りあった未亡人などを利用し確実に目標に近づいていく。
一方、OSAの画策を察知したフランス政府はパリ警察の敏腕刑事であるルベル警視を暗殺阻止の全権責任者に抜擢し、英国との裏ルートで本格的な調査を進める。
時間の流れを追った緻密なストーリー展開は原作に劣らない秀逸さだった。
ド・ゴール大統領に迫っていくジャッカルの巧妙で冷静な行動とジャッカルを追い詰めていくルベル警視の静かな攻防が、緊迫感にあふれ、一気にラストまで展開していく。
あの原作をよくここまで素晴らしい作品に仕上げたと感嘆する。
さすがジンネマンと思わせる素晴らしい作品だった。

- Posted using BlogPress from my iPodTouch


0 件のコメント:

コメントを投稿