今、ほとんどの人が忘れているが、一時期驚くほど流行った物って結構あると思う。
『かもめのジョナサン』も、その一つだろう。
1970年にアメリカで出版された本だ。
原題は、 Jonathan Livingston Seagull。
作者は、リチャード・バック。
日本では同作の映画化作品が、1974年に公開され、爆発的にヒットした。
『青春の門』などで知られる五木寛之の訳で出版され、120万部のベストセラーとなった。
真っ青なバックに白いカモメのシルエットが抜かれた表紙は、シンプルながらインパクトのあるデザインだった。
我が家にも、この本が一冊あり、私も読んだ。
ラッセル・マンソンが撮影した写真が、所々に挿入され、それほど長い話しではなく、手頃に読み易い本だった。
主人公のカモメであるジョナサン・リビングストンは、他のカモメ達と同じように魚を狩って暮らしていた。
ある時、飛ぶことにこだわりを持つようになる。
より高く、より早く飛ぶことに喜びを感じ、危険を顧みず命をかけた飛行訓練に没頭する。
周りのカモメ達に異端視されても、ジョナサンの欲求は抑えることができず、やがて同じように飛ぶことに生きる意味を求めるカモメの集団に出会うことになる...
と、こんな感じの内容で、アメリカではヒッピーを中心に口コミで流行ったのも頷ける。
哲学的というか、宗教的な内容は読む者によって、ジョナサンの思いをいろいろと解釈したと思う。
アメリカじゃ「風と共に去りぬ」を抜いて1500万部も売り上げたというからすごい物だ。
かつて、あれほど話題になって、今ほとんど知られていない。映画もたぶんDVDになっていない。
今やジョナサンといえば、ファミレスの名前しか出てこないだろう。
この『カモメのジョナサン』に特別な思い入れはないが、ここまで忘れられた作品も珍しい。
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