2009年9月7日月曜日

ナチュラル

今朝も秋晴れ。
というか、少し暑い。
夏が悪足掻きしているみたいだ。

『明日に向かって撃て』や『スティング』のロバート・レッドフォードが70歳を超えたと聞くと、自分も歳をとったと実感する。
ポール・ニューマンやスティーブ・マックイーンもそうだが、彼もまた悪役が出来ない俳優だ。
レッドフォードはどこをどうしても、かっこいいからだ。ファンの誰もが彼の汚れ役や悪役なんか観たくもないと思っている。
永遠にブロンドヘアーにブルーの瞳のレッドフォードが颯爽と活躍する姿を観たいのだ。

かつて、マックイーンはスピルバーグに『未知との遭遇』の出演を懇願されたそうだ。しかし、マックイーンは脚本に涙するシーンがあったため、「良い映画だが、涙する役は演じられない」と断ったそうだ。
ブラッド・ピットは、二枚目の好青年のイメージが定着するのを嫌い、テリー・ギリアム監督の『12モンキーズ』では精神を病んだ異常者役に挑んだ。だが、ファンが望むのは、やはりかっこいいブラピだろう。
ハリソン・フォードも『ホワット・ライズ・ビニーズ』で珍しく悪役を演じた、幾ら悪いことをしても悪人には見えないまま、映画は終わってしまった。

役者には様々なタイプがいて、彼らはヒーローでなければならない役者だろう。
彼らが望む望まないに関係なく、ファンはそう思っている。

そういう意味で『ナチュラル』はやり過ぎと言ってもいいほど、バリー・レビンソン監督が、レッドフォードが如何にかっこいいかを主題に作った映画だ。

レッドフォード演じる主人公ロイ・ハブスは、メジャーリーガーの試験を受けるため、愛する女性グレン・クローズに成功を誓い旅に出る。しかし、精神を病んだ女性に自殺の道連れとして銃で撃たれ、メジャーリーガーに成らぬまま16年の歳月が流れた。
弱小球団ニューヨーク・ナイツにスカウトされた時は40歳間近、監督もお荷物と決め付け、バッティング練習もさせない有様だった。
しかし、ハブスのメジャーリーガーとして活躍する熱い思いは消えることなく彼の中で燃え続けていた。
そんなある日、主力選手の不甲斐なさに腹を立てた監督が、ハブスにバッティング練習を命じた。誰にも期待されることなくバッターボックスに立つハブス。
しかし、ピッチャーが投げる球を軽々と柵越え。それも何発も続け、彼の実力を知らなかった監督を驚かせた。
4番の選手が外野フェンスに激突死したことも重なり、遂にハブスはメジャーリーグの4番として活躍する。
ハブスの活躍に刺激され、戦意喪失ぎみだった選手達も活躍し、快進撃が始まった。
しかし、監督がオーナーを兼ねているチームは優勝しなければ、今シーズン限りで大株主の判事に乗っとられる運命にあった。
優勝まであと一勝と迫った時、判事の指図でハブスが付き合っていた女性キム・ベイシンガーに薬が入った食べ物を飲まされ入院してしまった。更に判事はハブスに大金を渡し、試合に出場しなければ、過去の事件を公表すると脅しをかけた。
判事の工作で、ハブスは、また掴みかけた夢が手からすり抜けていくのかと落胆していた。
そんな時、故郷に残し球場で再開したグレン・クローズが現われ、ハブスに憬れる多くの少年達がいることや、ハブスが素晴らしい選手であることを告げる。
その言葉に消えかけた心の内にある野球への思いは燃えだし、今シーズン限りでの引退を決意して、病も癒えないまま最終戦に挑む。そうして迎えた最終戦。いよいよ彼の野球人生をかけたゲームが開始した。

と、浜村純じゃないが、これ以上は書くのをやめておこう。
とにかく、伝説と呼ばれる選手には、こういう逸話がなければならないというツボの全てを押さえた映画だ。

◆伝説のバット Wonder Boy
野球を愛し、息子に夢を持たせたハブスの父親が亡くなった時、庭にあった木に雷が落ちる。ハブスはその木からバットを削り出し、Wonder Boyという名と雷のしるしを焼き付ける。やがて、メジャーリーガーとなったハブスが、Wonder Boyを握りバッターボックスに立った時、空には雷鳴が響き、ボールを打ち潰す打球を放った。
それからハブスの活躍にあやかりたいチームメートは右袖に雷のしるしを縫い付け、いつの間にかチームのマークになってしまう。

クライマックスにもWonder Boyに絡んだエピソードが織り込まれていて、全編を通してヒーローはこういうものだということを描いている。
ある意味、臭いと思うほど徹底した演出だ。

色々考えずに感動したい人には打って付けの映画であることは間違いない。


∧-∧
(=^・^=)kinop

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