2010年7月28日水曜日

ビッグ・ウエンズデー



ジャン・マイケル・ヴィンセント、ウィリアム・カット、ゲーリー・ビジー。

1960年代のはじめ。
アメリカ、カリフォルニア。
マット、ジャック、リロイの3人のサーファーがいた。
彼らは波に乗り、馬鹿騒ぎをし、青春を謳歌していた。
彼らの夢はビッグ・ウェンズデーの大波に乗ることであった。
ビッグ・ウェンズデーとは、伝説の大波であり、その大波は水曜日に現れるとサーファー達は信じていた。
彼らは、ベアー(サム・メルヴィル)という伝説のサーファーを慕っていた。
ベアーは桟橋の小屋に住み、サーフボードを作り、伝説の大波を待っていた。

時の移り変わりの中で、ベトナム戦争の徴兵で仲間を失ったり、結婚して家族を持ち、様々なことに翻弄されながらも、マットは伝説の大波を待ち続けていた。
ジャックやリロイとも顔を合わすことも途絶えていたある日、伝説の大波が訪れるのであった。
ビーチに向かうマットの前にロングボードを手にしたジャックとリロイの姿があった。

1978年のジョン・ミリアス監督による青春映画。
ミリアス監督は、『ダーティー・ハリー』や『地獄の黙示録』の脚本家として知られており、『風とライオン』や『コナン・ザ・グレート』も彼が監督した作品である。
映画自体はフィクションであるが、映画に登場するエピソードの多くは実際のサーファー達の体験を元にしている。
サーフィン・シーンの映像も迫力があり、壮大な青春映画として作られている。
伝説のサーファーであるジェリー・ロペスも本人役で出演している。

マット達が勝手に人を呼んでジャックの家で乱痴気騒ぎをしたり、二日酔いのマットを海に連れて行って酔い覚ましに波に乗せるエピソードが楽しかった。
徴兵から逃れるため、仲間達とわざと検査に不合格になるよう、ゲイを装ったり精神病のふりをしたが、一部の仲間はベトナムに送られ帰って来れなかった。
検査でのあの手この手が可笑しかったが、帰って来れなかった仲間の墓の前で酒を酌み交わす3人の姿が悲しかった。

この映画の魅力は主役の3人の魅力に負うところが大きい。
ジャン・マイケル・ヴィンセントは数多くの映画に出演したが、爽やかなキャラクターを生かせる作品よりも『魔鬼雨』などのB級作品に出演する方が多く、本作でやっと彼の鍛えられた肉体と人好きのするキャラクターを生かせる作品に巡り会えた。
この映画以降にも多くの作品に出演したが、本作以上の作品には出演していない。
テレビ・シリーズでは、1986年に公開されたエア・ウルフが大ヒットし、日本でも人気を博した。

ゲーリー・ビジーは、この後も多くの作品にバイプレイヤーとして出演している。
タフな悪役として出演することが多いが、存在感のある役者として活躍している。
一時期はコカイン中毒で命を落としかけるまでに至ったそうだが、今は麻薬を克服している。

ウィリアム・カットもやはり多くの作品に出演したが、大作には巡り会えなかった。
スターウォーズのオーディションにも挑み、ルーク・スカイウォーカー役のフィルム・テストも行ったが、スカイウォーカー役にはマーク・ハミルが選ばれた。
その後、カットもテレビ・シリーズ『アメリカン・ヒーロー』に出演し、人気シリーズとなった。
その後は、テレビ作品や声優などで活躍し、HEROS3でもレポーター役で出演している。

3人とも本作以降に様々なことがあったが、彼らにとっても本作はビッグ・ウェンズデーだったようだ。

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